得供眼根〈えくめね〉(仮タイトル)

はすみらいと

モノローグ

 余白には何がいるのだろうか。人のいなくなった場所には何かが居着くように思えてならない。何故なら住居は住む人が居てはじめて住居なのだから、もし人がいなくなった後も形をとどめていたらその隙間にはきっと何かがそこを埋めようとするのではないかと。

 特に集合住宅にはたくさんのいろんな存在が人のふりをしている、そう思えてならない。薄暗くねっとりとした空間に。意味も知らないで彼らは人間の真似をしている、予感いや妄想だろうか。

 例えばチョウチンアンコウのように光を餌に招き入れようと今も、手をひらひらさせているのかもしれない。仲間に引き入れようとそうしているんではなかろうか。

 観測できない現状で答えを知る術はもちろんない。だからこそ人は廃墟だとかいったものを不気味に思い、遠ざけたがるのではないか。と思う次第。

 

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