ゲームスタート‼︎

水見

一章 〜world〜

第1話 〜流行っている噂〈上〉〜


 ぼちぼち書いていた新作よろしくお願いします(書いててめちゃくちゃ楽しくて、連載忘れてました……。そして一話一話が謎に長くなった件)。


——————————————————————————————————————


「ねぇ、知ってる?最近流行っている噂。その話はね——」


 その噂はあるVRゲームの噂。


 その噂の話はある日、フルダイブ型VRゴーグルとカセットが自分のところに届くところから始まる。

 そのVRゴーグルとカセットは頼んだ覚えのないもの。だけれどそのVRゴーグルとカセットの入っていた段ボールには名前が書いてあるの。

 その名前が書かれていた人は一週間以内に始めないといけないの。そうじゃないとね、神隠しみたいに翌日にいなくなるんだって。


「どう?怖かった⁇」


 話してくれた目の前の女の子は人懐っこい笑顔で聞いてくる。


「え?そんな噂、聞いたことないって⁇……有名なのにな……」


 しょぼんっと肩を下ろす。

 その姿を見ると少し悪いことをしたなと思ってしまう。


「まぁ、ありがとうね。聞いてくれて、嬉しかったよ」


 女の子は立ち上がって机に置いていた、鞄を持つ。


「あ、そうそう」


 思い出したっというばかりに手を女の子は叩いた。


「この話には続きがあったの。……もうちょっと聞いてもらっていい?」


 女の子は少し目を潤ませて聞いてくる。


「え、いいの?ありがとう‼︎……これはね、ある男の子と女の子の実話の話なの。それは——」


 ◇◆◇


「——どう?面白いでしょ?」


 女の子は話終えて満足していた。

 そのお話は綾口優気あやぐちゆうきという男の子と宮下陽奈みやしたひなという女の子がVRゲームで力を合わせるお話だった。


「え?実話じゃなくて作り話かって?君さ、ひどいね。私は本当のことしか言ってないのに……。あ、そう言えば綾口優気って聞いたことある名前じゃないのかな?」


 その名前にはものすごく聞き覚えのある名前だ。


「そうでしょ?だってその子の実話だよ。……え?でも、そんなこと聞いてないし、話にあった不登校もしてなかったって?……それはそうだよだって、八年後の話だよ?今、不登校してるわけないじゃん」


 女の子はそう言って、教室のドアの前まで移動する。


「あ、そうそう。私、嘘ついちゃってたね。え?答えられるって⁇……本当かな?」


 女の子は疑ってくる。


「さっきの実話が嘘だって?ひっどいね。それにふせ〜かい!。あれは嘘じゃないよ。正解はね、最初に言っていた噂が本当は今のあなたの知らない


 女の子は笑顔を絶やさずに言う。

 そして、背を向け教室から出ようとする。


「あ、これは嘘じゃないけどこれは教えとかなきゃ」


 女の子はそう言って、またこっちを向いた。


「教えるのはあなたがね、この学年でもない、ってこと」


 女の子は変なことを言う。ここに通っているのに、部外者とは……。


「あ、大丈夫だよ。今ではあなたは部外者でも罪にもならないし、見つからない。だってあなたはからね。じゃあね、また会おうよ」


 そう言って、女の子は去っていった。


 ◇◆◇


 六年後。

 学校に行くために、バスに乗っている。

 後部座席に座りながら目的地に着くまでの時間、動画を見て暇を潰していた。すると、コマーシャルが流れる。

 そのコマーシャルは新しい、ファンタジーゲームソフトのだった。


 新しいゲームソフト、か……。このゲーム面白そうだと思うけど……。


 季節は春。時刻は七時五十分。天気は晴れ。


 今日はとても天気が良く、ポカポカしている。今日は昼寝やらに絶好の日。今日は中庭で昼寝でもしようかな……。


 いつしかコマーシャルは終わっており、動画の続きが始まっていた。

 視線は窓から、手元のスマホに戻る。


『次は佐鳥駅前。お降りの方は——』


 僕——、綾口優気は動画を見終わり、次の動画を見始めた。


 ◇◆◇


「ねぇ、今さ、休んでいる人が多いのって、やっぱりのせいかな?」


 俺は教室に入ると、そんな声が聞こえる。


「そうじゃない?だって休んでいる人多いじゃん」

「だよね!」


 ……。そんなわけないはずだよ。


 僕は呆れる。

 。それは、とあるVRゲームの噂で一週間以内にゲームをしないと、神隠しにあうと言われている噂話。


 そんな噂あるわけないのに……。噂は噂なんだから。


 僕は噂話を全く信じていない。だって、ほとんどがデマだからだ。信じる方がどうかしている。僕はずっとそう思っている。

 だけど、最近になって少しずつ学校全体で見ると、教員や生徒が少なくなっている気がする。クラスメイトもずっと休んでいる人がいたりするのだ。


 まぁ、先生が言うには流行病だそうだけれど……。大丈夫かな?


 僕は自分の席に座って、やり終わっていない数学の宿題に静かに取りかかる。誰にも声をかけられずに。

 その理由は友達それに親友そして、グループにも入れなかったから。すでに入学早々クラスではグループができており、穴はなく入れなかった。

 そのため、人生初の十六歳で教室でぼっち生活を送っている。一つの利点は勉強が捗ること。宿題も捗る。そのため、ここは僕専用の「自習室の机」と名付けた。

 理由は自習室みたいに僕の周りは誰も居らず、静かだからだ。


 で、僕はさっきから数学の宿題で気を紛らわせているけど、いつになったら友達ができるの……?


 やっぱりいないものは悲しい。それも人生初だから。


 はぁ……。一時間目、理科で班を作らないといけないし、サボろうかな……。


 班になるのが辛すぎて、そんなことを思う。

 思考を全く違うことに使っていたが、その間に数学の宿題は終わってしまっていた。


 「……うん。サボろう……」


 僕はそう言って、校舎裏に向かう。

 校舎裏は人気ひとけがなく、一人になりたいときや、サボりたい時にすごい便利だ。僕はよくそこに行っている。二日に一回とかそのくらいの頻度に。

 僕は校舎裏に着くと、壁に沿って座る。


「はぁ。暖かいな」


 空を見上げる。

 すると暖かいため、僕は急に眠たくなる。

 うつら、うつら、と瞼が閉じかけては開き、閉じかけては開きを繰り返していた。


 コツコツコツ


 眠くなっていた時、誰かの足音がした。


 ここにくる人は限られている。サボろうとしている人、一人になろうとする人、最後は教員と僕のクラスの学級委員長——、小西琳寧こにしりんね

 学級委員長と言えば、メガネと黒髪というイメージが強いが、小西さんは深い茶色い髪をポニーテールにしていて、クラスの中心人物。だけれど、校則違反はしたことがなく授業にも積極的に取り組み、よく褒められている生徒だ。

 僕は近くにあった柱に隠れる。


 コツコツコツ


 足音がだんだんと近くなってくる。


 コツコツコツ……コツ


 足音が止まる。

 僕はサボるため、見つからないように願う。


「綾口くん」


 柱を挟んで、誰かが僕の名前を呼ぶ。


 この声は……。


「学級委員長の小西さん」


 僕は隠れても意味がないので、両手を上げて柱の裏から出てくる。


「はい。あたしは学級委員長の小西さんで〜す」


 小西さんは笑顔で答える。


「で、綾口くんはこんなところでサボり?だよね⁇」


 小西さんは腕を組んで訪ねてくる。

 僕は図星すぎて何も言えず、少しでも気まずさを紛らわすため、視線を外す。


「こら!こっちむいて‼︎教室に戻るよ‼︎」


 小西さんは僕を引っ張って、教室に向かおうとするが、体格差と力差で引っ張れない。


 申し訳ないけど、流石に小西さんの力では僕は引っ張れない……。


 小西さんは諦めずに僕を引っ張ろうとしている。

 僕は諦めて、教室に戻ろうとした時——。裏校舎にもう一人がいた。

 長い透き通るような水色の髪をしている誰か。その誰かはここら辺では見当たらない、真っ白い制服と思わしきものを着ている。

 誰かはこちらを一瞬見た。表情は優しくふわっと微笑んだ。

 僕はその表情に一瞬見惚れた。


「君は……」

「……どうしたの?綾口くん、何かあった?」


 僕は小西さんに揺さぶられ、はっとする。


「いや……、あそこに誰かいたから」


 僕はその場所を指差す。


「え?どこ⁇」


 小西さんはその方を見る。


「……いないよ?誰も」


 小西さんは不機嫌になって言う。


「え⁉︎」


 僕はもう一度見た。けれど、そこには誰もいなかった。


「え⁇」


 僕は困惑する。


「幻でも見たんじゃないの?」


 小西さんは呆れ気味だ。


「そう、だったのかも……」


 僕は納得はできないがその方が現実的だ。


「さ、教室に戻ろう?」


 小西さんはそう言って、手を引っ張ってくる。


「……わかった」


 僕はそう言って、ついていく。

 さっきのは誰だったのかと考えながら、校舎内に戻っていく。

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