ネコガミ
癒月
プロローグ 「全てのはじまり」
その日の午後。私は体調不良により、学校を早退していた。
普段であればこの様な突然の頭痛に襲われる事はまず無い。
理由も分からないまま、帰り道を歩いていると塀の上に白く、とても毛艶の良い猫が居る事に気が付いた。
なんとなくだが、その猫を見ていると頭痛が和らいだ気がした。
当然、“気がした”だけの為、頭痛は今も私を襲い平衡感覚を奪っていく。
それでも、なんとか持ち直し自宅へとたどり着いたまでは良かった。
良かった、のだが…
開け放たれた玄関のドアからしてくる異臭…これは間違いなく鉄の匂いだった。
つまりは、大量の血が家の中で充満している証拠。
頭痛も相まって、更に顔を歪めればリビングの方から物音が聞こえてきた。
ドアをゆっくりと開け、そこで絶句する。
真っ赤に染められた母が倒れており、その傍らには見知らぬ男性が母を恨めしそうに見ていたのだった。
その光景を見た瞬間、思考回路は乱れに乱れ、その場で腰を抜かす以外の選択肢など残されてはいなかった。
私の発した音に気付いた男性は振り返り、手にした包丁を私へ目掛けて振り下ろそうとした。
そして、そこで全てが暗転した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます