第1話 陽光
『任務:ユミトルド地下牢獄における暴動の鎮圧。執行官筆頭はエチカ・ミーニア少尉。少尉、承認を』
「同意。
『受諾済みです』
「――任務を開始する」
夏の日盛りである。
――エチカ・ミーニア少尉。
弱冠十六歳の尉官。
その
彼は老練の軍人の如く、突発的な任務の指令にも動じず、腕を後ろで組んだまま、濃い深緑の木々のさざめく影を眺めていた。
「得難いものだな。憩いの時の余りの短さは」
「
「幽霊が良く言う。俺たちはお前らみたいに本質ありきの存在ではない。人生の本義を見出すのは、全て悠長に、人生を
「主。十六歳が良く言う。とだけお返しいたします」
エチカが見上げる床と天上の間、その中空の
「行くぞ。エンテラール」
と、エチカは自分の鼻を軽く摘んでから言う。
「主。お供します」
「ああ、なんにしても、暑いな。今日は」
「蒸した草いきれもまた、鼻に薫って良いものですよ。主」
その幽霊、エンテラールの言葉に、エチカは片手だけ持ち上げて、それから中庭に未練を残すように視線を切ってから歩み出す。彼の
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