キャラの書き分け方法3選

 ストーリーが進むにつれ、登場人物の数が増えていくと思われます。


 そこで今回は、キャラの書き分け方法をご提案させていただきます。3つほど見ていきましょう。



①似た名前は避ける


 特に長編を書く場合、脇役も含めると多くのキャラクターが登場すると思います。そうなった際に似た名前が多いと、読み手の方が混乱なさる恐れがあります。


 キャラ同士で名前がかぶらないようにしましょう。ごっちゃにならない名前を付けるだけで、読むうえでのストレスが軽減されると思います。


 この『ややこしい名前問題』を分かりやすく(?)示したのが、漫画『SKETスケット DANCEダンス』16巻収録の、『まぎらわしいゆかいな仲間たち』です。次々と現れる登場人物たちが、全員似た名前であるために大混乱するという回です。



・萩原 緑(はぎわら みどり)

・萩原 翠(はぎはら みどり)

・荻原 縁(おぎわら ゆかり)

・荻原 紫(おぎはら ゆかり)

・矢萩原 みどり(やはぎはら みどり)

・荻原 縁(おぎわら ゆかり)



 これ打つだけでも混乱しました(笑)。はぎおぎわらはらみどりゆかりなどは、注意が必要かもしれませんね。


 スケットダンスの場合は、あえて極端に取り上げることで見事なユーモアとして成立していますが、こういった手法は例外ですので、似た名前は避けるのが無難かもしれません。



②被らない一人称


 特にライトノベルの分野では、キャラクター同士の会話が多くなる場合があると思います。複数人のセリフが並んだ際、それぞれの一人称を別なものにしておくと便利ですよ。


 なお『一人称』というのは、話し手が自分自身を指す言葉のことです。僕の場合は『僕』ですね。


 複数のキャラに別な一人称を割り当てておくと、このセリフは誰が喋っているのか、読者の方に判別してもらいやすくなります。語尾や言葉遣いも工夫すると更に効果的です。


 以下は拙作せっさくで書く予定の会話です。5人組の女子高生アイドルユニットが、街ゆく人々の注目を集めるシーンです。


    *


A「へへ、みんなアーシのかわいさに夢中になってるし」

B「何言ってるのー? わたしのルックスに腰を抜かしているのよー?」

C「…………私(確)」

D「アホか。ウチに決まっとるやろ」

E「け、ケンカはダメだよみんなっ! それにっ……。ぼ、ボクって可能性もあるわけだしっ!」


    *


A 一人称『アーシ』。語尾『し』。

B 一人称『わたし』。語尾は伸ばし棒。

C 一人称『私』。文頭に三点リーダー。語尾に()でくくられた言葉。

D 一人称『ウチ』。関西弁。

E 一人称『ボク』。語尾『っ』。


 うーん、例として挙げてみたのですが……。やはり僕のだと分かりづらいですね。上手に書き分けられる方はすごいです。


 例はともかくとして、一人称や喋り方などを工夫すれば、誰が喋っているか分かりやすいというお話でした。(もしかしたら純文学などでは使えない手法かもしれません。申し訳ございません……)



③服装などで差別化を図る


 服装が印象的だと、そのキャラをより鮮明にイメージしてもらうことができます。髪型・髪色やアクセサリーなども有効ですね。


 上記の5人娘はしょっちゅう同じ場面で登場するため、見た目が被らないよう気を遣いました。ビジュアルは、それぞれ次のようなものにする予定です。



A 金髪。ポンパドール。日焼け。セブンイレブンの制服。

B バニーガールのカチューシャ。長身。着物。ネイル。

C 紫髪。鬼太郎ヘアー。ハーフ。オッドアイ。三本線ジャージ。

D 赤髪。ツーサイドアップ。八重歯。B系ファッション。

E アホ毛。ショートカット。小柄。半袖半ズボン。リストバンド。



 ちょっと情報量多いですね……。欲張りすぎるとかえってイメージが混乱します。僕のは装飾過多ですね。


 カクヨム人が扱えるのは基本テキストのみです。イラストがある漫画やアニメとは違います。服装はあくまでキャラクターを印象づける手段であって、目的ではないのだと割り切りましょう。


 僕のようについつい盛り過ぎてしまう方は、ディテールではなく全体の印象を描写するのがよいかもしれません。説明はほどほどに抑えて、後は読者様に補完してもらった方がよい場合もあります。


 上記の5人、印象だけの描写バージョンです。



A 明るいギャル。ギター。

B 表面上温和なリーダー。キーボード。

C むっつりスケベ。ベース。

D しっかり者。実は内気。ギターボーカル。

E 素直で元気。ドラム。



 印象だけと言ったくせに担当楽器を付ける――。こういうのが装飾過多なのです。聡明な皆様は真似なさらないと思いますが、くどい説明には要注意ですね。




 ……さて。以上でキャラの書き分けについての話は終わりなのですが、中途半端に文字数が余ってしまいました。


 そこで、ちょっと前の話になるのですが、『1話につき〇〇字がおすすめ! それと改行・空行』の補足をしたいと思います。空行についてですね。補足なので聞き流していただいて大丈夫ですよ。




補足:空行と場面転換について


 横書きスタイルでは、空行を用いると読みやすいというお話をしましたね。文章と文章の間に、適度なタイミングで空白をつくるのです。内容に区切りがついた時などですね。


 この時、ストーリーが別の場面に切り替わる場合があると思います。例えば、授業中のシーンからお昼休みのシーンに変わる、などですね。こういった際にですね。


    *


 このように、『*』や『――――』などで区切る手法があります。別に必須ではないのですが、特にライトノベルの分野では相性がよいと思われますので、頭の片隅に置いていただければ幸いです。



 ところで、皆様はPCとスマホ、どちらで書いていらっしゃいますか? おそらく、メインはPCという方が多いと思います。外出先ではスマホ、という感じでしょうか。


 ところが、作品を書かない『読み専』様には、どうやらスマホ派の方が多いようです。カク人はPC、ヨム人はスマホが多い――。このギャップが何をもたらすのかというとですね。


 表示される『*』の位置が、センターからズレてしまう場合があるのです。なぜなら、PCとスマホでは、一行あたりの文字数が違うからです。どういうことか、実際に見ていきましょう。


                   *


 はい。いま空行の19文字目に『*』を入れました。僕が執筆しているPC画面上では、真ん中の位置に来ております。実際に数えてみたら、PCでは一行あたり38文字でした。


 一方、スマホは一行あたり20文字です(人によって違うかもしれません)。そのため、『*』はスマホ画面の右端に来ていると思われます。スマホで読む方の視点に立ってみると、ちょっと見づらいかもしれませんね。


 この『文字数ギャップ』が気になる方は、『*』を気持ち左側に入れてみるといいですよ。僕は普段5文字目に入れています。それくらいだと、PCで読んでもスマホで読んでも、さほど違和感はないかな? と思います。以上、ちょっとした補足でした。



    *



 では、今回のまとめです。



・書き分けのテクニック

 ①似た名前は避けるのが無難

 ②一人称や語尾、口調などを工夫する

 ③見た目のイメージを印象づける



 読んでいただいてなんですが、補足については別に覚えなくて大丈夫です。ぶっちゃけ余程極端な形式でない限り読んでもらえます。PCとスマホで表示が違うのだなぁ、くらいに知っていただければ十分でございます。


 次回は『自主企画』についてです。それでは失礼します。(2964文字)

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