ちくわだにょwwww

@sasisusesso

第1話

飼わせてくれないと家出する!お母さんとお父さんのことなんてもうずっと無視してやる!と当時の私の最大級の脅しをしたがやっぱり駄目だった。

***

ゆふを家に連れて行くたび、何度も何度も反対され、自分の名前と同じぐらい「だめ、うちは猫はもう飼いません。」という言葉を聞いた。でも私は諦めてたまるか、絶対にユフちゃんを家族として招く。と信念を燃やし、どうにか彼女を家に招いてくれないか、一緒に暮らさせてくれないかと頼み続けた。

***

それから時間が立ち、眠っていた動物たちが目を開け始める頃、私の努力が結ばれて、ついにユフが家族になることが決まった。ゆふをむかえ入れる事に当たり、私にはいくつか条件が言い渡された。仲良くして、喧嘩はしないこと。けっして意地悪しないこと、責任を持って、面倒を見ること。この3つを絶対条件とし、ついにお父さんとお母さんは、ゆふをお家につれてきてくれたのだ。

いつも私が公園まで会いに行かないと姿が見えなかったゆふが、常にお家にいる。いつでも遊べるし、嬉しいときも、悲しいときも同じ屋根の下で分かち合える。今後の生活を思うだけで胸が弾み、ドキドキが止まらなかった。

***

ユフちゃんをお家に招いたはじめの頃、ゆふちゃんは何故かお父さんお母さんに怯えていて(なぜか私は怖がられなかった)出されたご飯もまともに食べていなかった。でも、私のおやつのビスケットをそっと差し出すと、それはそれは美味しそうに食べるので私はいつもおやつをユフに全部あげていた。おやつをあげるたびににゃ〜んと甘えた声を出すものだから、まるで妹ができたような気分で嬉しかった。

***

はじめの頃はおとなしかったゆふだっが、次第にこの家に慣れてくるとやんちゃな一面も出てきた。私とゆふで留守番している間に花瓶を壊したり、テレビ台の上に乗ったり。ときには私と一緒にお父さんとお母さんへいたずらをして一緒に怒られて一緒にしょげてみたり。ゆふと過ごす当たり前の毎日がとっても楽しかった。


でも……


私とユフはよく一緒に公園へ散歩をしに行った。猫を連れて散歩なんて珍しい目で見られると思うが、案外みんな普通の目で見てくる。なんなら「お散歩してるの?かわいいね」だったり、「いいなぁ、私も猫ちゃん飼いたい~」なんていう言葉をかけてくれる人たちもたくさんいて、とっても嬉しかった。だけど、私とゆふはちょっとドジで、よく怪我をしてしまう。ゆふは猫だから、高いところからジャンプに失敗したりして怪我をしてしまったり、私はよくコケて怪我をしてしまう。

はじめの方はお父さんとお母さんも「もう、二人ともおドジさんなんだから」と言って笑いながら手当してくれた。でもなんだか、夜な夜な二人で話し合うことが増えていた。一体、何を話しているんだろう……?

***

いつもどおり、私とゆふで散歩に行こうとすると、お父さんお母さんに

「だめ、あなた達はよく怪我をするでしょう?それに迷子になったらどうするの?見つけてあげられないかもしれないよ。」と止められてしまった。

今まで止められたことなんで一度もなかったのに。そんな急に「ダメ」とか言われても困る。今日みーちゃんとナナちゃんと遊ぶ約束、しちゃったのに。理不尽な仕打ちにたまらず「そんなこと急に言われたって無理よ、私はそれでも出掛けさせてもらうわ!」そう言って私は勝手に家を出た。てっきりユフもついてきているものかと思ったがユフはそこにはいなかった。家で我慢していたのだ。「面白くないわね」と思いながら私は公園へ向かうことにした。

***

「え〜〜っ!?」二人にさっきのことを話すと、「虐待じゃん!ありえな〜い!!」と二人は口を揃えていってくれた。思っていたことを代弁してくれたのでスッキリしたが、まだちょっといらいらが収まらなかった。

絶対帰ったらお母さんに文句を言ってやる。お出かけを禁止したこと、覚えてなさいね!

***

「ただいま〜」目の前にはカンカンに怒ったお母さんがいた。

たったさっきまで「虐待!」だとか「毒親!」だとか叫び散らかしてやろうと思ったが、あまりの気迫に何も喋ることができなかった。

「ねぇ、ミサ?勝手に公園に行った挙句、こんなに遅くまで何をしていたの?なんでママの言うことが聞けないのかしら?」と睨みつけてきた。

お母さんのことが怖いのは確かだが、やはりイライラはするので思わず

「なによ!少しぐらい遊んだっていいじゃない!むしろ、そんな急に禁止なんてされても無理に決まってるじゃない」と言い返してしまった。すると「もういいわ、あんたみたいなわがままな子はここにいなさい!」と、寝室に閉じ込められてしまった。

「なによ!閉じ込めないでよ!ねえ!」私がそう言っていると、ゆふがそっと近づいて「大丈夫?」と言うように優しく鳴き始めた。私は「大丈夫だよ、ゆふは心配しないでね」そう言うと

「ゆふ、こんな言うことを聞かない子と一緒に遊んじゃだめよ。あなたはこっちで遊んでいましょうね?」と言ってゆふを遠くへ連れて行ってしまった。

***

「お腹空いたよ、出して」と言っても、「つまらないよ、外に出してよ」と言っても、家にはユフ以外居ないらしく、出してもらえなかった。昔は私達を置いて行くことは少なかったし、留守番させるときはちゃんと出る前に声をかけてくれたし、お土産とか買ってきてくれた。でも最近は何も言わないで突然置いて行かれる。それに、遊んでくれる回数も最近は減ってきた。 

昔はよく一緒にボール遊びとかしたし、鬼ごっことかもした。でも最近は誕生日でさえ遊んでもらえない。

前までお父さんとお母さんはあんなにも優しかったのに、どうして急にこんな事をするようになったのだろうか?

私達がいい子ではないからなのか?

***

それから何時間か立って、ようやく私は部屋から出してもらった。朝と昼を食べなかったから、夜ご飯は一段美味しく感じた。

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