第2章:「ソクラテスとプラトン - 問答法で真理を探る」
さあ、私たちの哲学の旅は古代ギリシャから始まるよ。最初に出会うのは、哲学の父と呼ばれるソクラテスと、その弟子のプラトン。
まずはソクラテス。彼は紀元前469年頃にアテネで生まれたんだけど、面白いことに彼は一冊も本を書かなかったの。それなのに、なぜ哲学の父と呼ばれているのかって?
それはね、彼が「問答法」という独特の方法で人々と対話を重ね、真理を追求したからなんだ。街を歩き回って人々に質問を投げかけ、相手の答えにさらに質問を重ねていく。そうやって、人々の思い込みや偏見を明らかにしていったの。
「ねえ、あなたは正義って何だと思う?」
「えっと、法律を守ることかな」
「じゃあ、悪法があったら? それを守るのが正義なの?」
「う~ん、そうじゃないかも……」
こんな感じで、ソクラテスは人々に「本当に自分の考えは正しいのか?」と問いかけ続けたんだ。彼の有名な言葉に「無知の知」があるんだけど、これは「自分が無知であることを知っている」という意味。謙虚に学び続けることの大切さを教えてくれているんだよ。
でも、こんなソクラテスの行動が、当時の権力者たちの目には煙たく映ったんだ。結局、彼は「若者を惑わす」という罪で裁判にかけられ、毒杯を仰いで死刑になってしまったの。最後まで自分の信念を曲げなかった彼の姿は、多くの人々に感銘を与えたんだ。
さて、そんなソクラテスの教えを受け継いだのが、プラトンっていう人。紀元前427年頃に生まれた彼は、貴族の家系の出身で、若い頃は詩人になりたかったんだって。でも、20歳くらいでソクラテスに出会って、人生が変わっちゃったんだ。
プラトンはソクラテスと違って、たくさんの著作を残したの。その中でも特に有名なのが「国家」という本。理想の国の姿を描いた本なんだけど、そこには「洞窟の比喩」っていう面白いお話が出てくるんだ。
想像してみて。
洞窟の中に、生まれたときから鎖で縛られた人たちがいるの。彼らは洞窟の壁しか見ることができなくて、その壁に映る影だけを見て育ってきた。ある日、その中の一人が鎖を解かれて外の世界に出る。最初は眩しくて何も見えないけど、だんだん目が慣れてきて、本当の世界の美しさに気づく。
でも、その人が洞窟に戻って他の人たちに真実を伝えようとしても、誰も信じてくれない。影だけを見て育った人たちには、本当の世界のことなんて想像もつかないからね。
このお話は、私たちが「本当の真理」を知ることがいかに難しいか、でも同時にそれを追求することがいかに大切かを教えてくれているんだ。
プラトンは、このような「イデア論」という考え方を展開したの。この世界に存在するものは全て、完全な「イデア」(理想形)の影なんだって。例えば、この世にある様々な椅子は、完全な「椅子のイデア」の不完全なコピーなんだ。
面白いでしょ?
プラトンは、目に見える世界の向こうにある、本当の真理を追求しようとしたんだ。
そんなプラトンの日常生活はどんなだったのかな? 実は、彼はとってもスポーツが得意だったんだって。特にレスリングが上手で、若い頃はオリンピックに出場したこともあるんだよ。哲学者っていうと机に向かってばかりいるイメージがあるかもしれないけど、プラトンは体を動かすことも大切にしていたんだ。
でも、彼にも失敗はあったんだよ。シチリア島のシラクサという都市国家で、彼の理想の国家を実現しようとしたんだけど、うまくいかなかったの。権力者との対立もあって、奴隷として売られそうになったこともあったんだって。でも、この経験から彼は多くのことを学び、より現実的な政治論を展開するようになったんだ。
ソクラテスとプラトン、二人とも波乱万丈の人生を送ったけど、その考え方は今でも私たちに大きな影響を与え続けているんだよ。
さあ、ここで少し立ち止まって考えてみよう。
「あなたにとっての"本当の真理"って何だと思う? 日々の生活の中で、"影"を見ているだけになっていないかな?」
難しい質問かもしれないけど、こういうことを考えるのが哲学の始まりなんだ。ソクラテスやプラトンのように、当たり前だと思っていることに疑問を持ってみるのも面白いかもしれないね。
さらに調べてみよう:
1. ソクラテスの「問答法」について詳しく調べてみよう。現代でも使えそうな場面はあるかな?
2. プラトンの「国家」を読んでみよう。今の社会と比べてどんな違いがあるだろう?
3. 古代ギリシャの哲学者たちが活躍していた時代の、アテネの様子について調べてみよう。
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