キャラメで爆誕!!英雄冒険譚(ヒロイック・ストーリーズ)
サイノメ
第1章「英雄降臨!」 暗獄伯爵グラシャ登場
第0話 英雄(ヒーロー)の中身は
「はっ!」
俺は気合の叫びとともに目の前の
小鬼と呼ばれる亜人型の魔物。
俺の感覚ならゴブリンやコボルトの方がしっくりくるが、この世界ではそう言われている以上、俺が「こいつはゴブリンだー!」などとわめいても変な奴だと避けられるのが関の山だ。
ともかく、俺は倒れた小鬼を確認せずに、次の目標を探す。
右斜め前、少し離れたとこにいる黒妖精の射手。
俺の感覚ならダークエルフの方が(以下略)。
だが、ヤツなら距離も十分だ。
軽く位置を変える。
手に持つ愛剣を握り直し、姿勢を低くする。
次の瞬間、俺は猛然と駆け出し身体を旋回させる。
突進力と回転力を乗せた愛剣は風を切る音を立てながら黒妖精へ迫る。
あまりの速度に黒妖精は驚きの表情を浮かべていた。
俺はそれを一切気にすることなく剣を叩き込み、振り抜く。
回転する身体を止めるため両足を踏みしめるが、勢いは止まらず、俺は黒妖精の背後まで駆け抜けていた。
そして、俺は剣を振り払う。
背後で真っ二つになった黒妖精は身体が崩れ灰燼となっていった。
生物と魔物の一番の違いはコレだ。
魔物は生命を失うと灰と化して崩れる。
昔の偉い学者は「魔物は魔神たちが自らの魔力で創造したからではないか」と記している。
……そう以前読んだサプリメントに書かれていた。
俺は周囲を見回す。
どうやら襲ってきた魔物の一団は退けられた様だ。
それを確認しつつ、俺は自分のキャラクターシートを思い浮かべた。
頭の中に表示されたシートを確認すると、思った以上に気力を消費している。
しかし精神や栄誉は削れていないので、まあいいか。
体力も十分だから回復の必要もない。
俺は一人納得すると仲間のもとへと駆け寄る。
「みんなは大丈夫?」
近場の騎士のマハトに声を掛ける。
「ああルシア、君が切り込んでくれたおかげで、こちらに魔物はあまり来なかったよ。」
マハトがいかにも好青年然とした笑顔を俺に向けてくる。
「そんな事ないわ。 事前にマハトたちがサポートしてくれたおかげ。」
悪意がない以上、こちらもにこやかに回答したのだが、「暗殺者がそれでいいのか」と言う別の疑問が浮かぶ。
そう俺は今は暗殺者だ。
それもただの暗殺者じゃない。
伝説の魔剣持ちである。
暗殺者がなぜ、そんな大層な武器を持っているかと言えば、俺がそう設定したからだった。
いや、別に頭がおかしくなったとか、実はこの世界の神様だったとかではない。
さらに言ってしまえば俺(の魂と意思)はこの世界の者ではない。
異なる世界の存在なのだが、ある偶然的な出来事によりこの身体に宿っているのだ。
俺の魂の名前は
訳有ってTRPG『ブレイズ&ブレイブ』の世界で自分の
俺の目的は一刻も早くターゲットを倒して、
……少し俺の身になにが起きたのか語っておきたいと思う。
なぜ俺が異世界に来て
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