【あらすじ動画あり】6話(2)【和風妖怪ファンタジー】
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【あらすじ動画】
◆忙しい方のためのショート版(1分)
https://youtu.be/AE5HQr2mx94
◆完全版(3分)
https://youtu.be/dJ6__uR1REU
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「あら、若?」
見世物はいつの間に終わっていたのか、舞台袖から花ちゃんが顔を覗かせた。
「若、お久さしゅうございますね」
感動のあまり——かどうかはわからないが、花ちゃんは猛烈な勢いで銀次たちに向かってきた。それも首だけで。
「ギャッ!」
さすがの辰政も驚いたのか、銀次と一緒になって固まってしまう。
それを見た花ちゃんが、嬉しそうに長い首を踊らせた。
「おや、いい反応だねぇ。こうゆう子どもの顔見たさで、あたしはこの売(バイ)しているようなもんですよ。きっと他の奴らも同じだと思いますけどね」
「ほ、他の奴ら……?」
銀次は勇気を振り絞って聞いてみた。
「あら、知らなかったんですか? この奥山にいる者たちの大半は裏町の妖怪や術師なんですよ」
「へっ……!? ってことはあの狼少女のアイちゃんも? 狐使いのおっさんも? 全部本物!? インチキじゃなくて!?」
「えぇ、本物ですよ。インチキに見えるように手を抜いてるだけです」
銀次はグラリと目眩を覚えた。
まさか同じ場所で商いをしてきた連中が、本物の妖怪や術師だったなんて。
頭を抱えていると、首を戻してきた花ちゃんが前に立っていた。
「それだけではありませんよ。六区(ロック)にもあたしらの仲間が大勢います。裏町に人間の商人が多くいるようにね。浅草(エンコ)はあたしら異形のモノにとったら格好の場所です。ここでは奇妙であればあるほど、モテ囃される不思議な場所でございますからね。若がよく表町に遊びに来るのもそうゆう訳なんでございましょ? まったくモノ好きなんだから」
「ふふ、お前さんだって同じようなものであろう?」
陵蘭と花ちゃん——ニョロニョロ仲間は「ほほほ」と笑い合った。
「ところで皆様、今日はどのようなご用件で?」
花ちゃんはグルリと銀次たちに顔を向けた。据わっていない首がグラグラしていて、ちょっと不気味だ。
だがそれさえ除けば、彼女は普通の人間のように見える。乱れた後れ毛を整える姿なんか、浮世絵の美人画にでも出てきそうだ。
だいぶ落ち着いてきた銀次は、一呼吸して花ちゃんと向き合った。
「俺たち、花ちゃんに聞きたいことがあって来たんです。数日前、十五、六の女の子がここに来ましたよね?」
「えぇ、ええ。来ましたよ。真っ赤なリボンをした娘さんでしょう?」
「そう、それ! その子は一体何をしにここに?」
「えぇ、それがですね。どうやらその娘さん、あなた様に会いたかったらしいですよ。ここら辺に覗きカラクリをやっている方はいらっしゃいますか、って尋ねてこられたので」
「え……俺に?」
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