第16話 蔦鎧の宝玉

 蔦鎧の守護者アイヴィー・ガーディアンとの戦闘は、無事に俺たちの圧勝で幕を閉じた。

 格上の相手を倒したおかげか、レベルが一気に5つも上昇する。



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 名前:佐伯さえき 奏多かなた

 性別:男性

 年齢:18歳


 レベル:36

 HP:4099/4261 MP:828/1940

 筋 力:622

 持久力:488

 速 度:643

 知 力:392

 感 覚:447

 幸 運:436

 SPスキル・ポイント:60


 スキル:〈共鳴〉LV1、〈水滴石穿〉LV1、〈重奏撃〉LV1

 称 号:【最速踏破者】


――――――――――――――――――――



(わざわざエリア最奥まで行く必要もなくなったし、結果オーライって感じかな)


 ステータスを確認しながらそんな感想を抱いていると、


「佐伯さん!」


 俺の名前を叫びながら、祈がこちらに駆け寄ってくる。

 僅かに紅潮したその顔には、どこか興奮の色が見て取れた。


「その、凄かったです! 格上のエリアボス相手に、最初から最後まで圧倒していて……」

「ありがとう。祈が援護してくれたおかげだよ」

「……あはは。私がいなくても、佐伯さん一人で倒せてた気もしますが……」


 少しだけ気まずそうに呟く祈。

 確かに倒すだけなら俺一人でも十分だったかもしれないが、ダメージ一つ負わず圧倒できたのは、間違いなく祈のサポートあってこそ。

 だからこそ俺は、心の底から祈に感謝していた。


 っと、そうだ。


「とりあえず先に、アイテムの回収をしておこう」


 そう告げた後、俺は倒れたアイヴィー・ガーディアンを解体していく。

 すると心臓部に、褐色の球体を発見する。


「よし、見つけた」


 目当てのアイテムを発見できたことに喜びつつ、俺はソフトボールサイズのそれを引き抜いた。



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蔦鎧つたよろい宝玉ほうぎょく

 ・レア度:D

 ・第10階層の【蔦鎧の守護者アイヴィー・ガーディアン】から入手できる宝玉。

  定められた場所で使用することで、さらなる試練への挑戦権を得られる。


――――――――――――――――――――



 アイテムの情報欄には、俺が知っている通りの説明が書かれていた。

 すると、隣にいる祈が身を乗り出してくる。


「これが、佐伯さんの言っていたアイテムですか? 何だか、要領を得ない説明文ですが……」

「確かにこれだけだとそう思うかもな。でも大丈夫だ、使い道は既に分かってる」

「な、なるほど……?」


 納得したような納得していないような、微妙な表情を浮かべる祈。

 まあ、詳しいことは後で改めて説明するとしよう。


 それより、他に気になることがあるとすれば……


「どうしてエリアボスである蔦鎧の守護者アイヴィー・ガーディアンが、この場所に現れたかだな」


 本来であれば、【蔦鎧の守護者アイヴィー・ガーディアン】は『迷いの森』の最奥に生息している。

 誰かしらが挑戦して討伐に失敗するなど、特別な事情がない限りエリア内を徘徊しているはずはないんだが……


「まあ、その辺りについてはひとまずいいか。無事に目的は達成できたわけだしな」



 そう結論を出し、俺と祈は今度こそ『迷いの森』を後にするのだった。

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