タクシーの運転手の体験!

崔 梨遙(再)

1話完結:700字

 そのタクシーの運転手さんは、交替の時間なので会社に戻ろうと車を走らせていた。夜が近い。運転手さんは憂鬱だった。その日は売り上げが少なかったのだ。


 その時! 白いワンピースの女性が手を挙げているのを見つけた。“ラッキー! 今日の売り上げが増える!”。乗せると、


「〇〇の辺りへ」


とのこと。結構、距離がある! 良かった、稼げる! 運転手さんは喜んだ。その女性は、俯いたまま何も話さない。車内には不思議な緊張感が漂った。走っている内に夕方から夜になった。


「あ、ここでいいです」

「〇〇〇〇円です」

「お釣りはいいです」


 女性は足早に去って行った。男は、女性が座っていた座席を見た。濡れている! 運転手さんは“幽霊か?”と思ったが、やがて気付いた。アンモニア臭。ただの小便だった。掃除をするのが面倒臭かったらしい。




 また、別の運転手さんの話。夜、車で走っていたら手を挙げている老婆を見つけた。真っ白でボサボサな長い髪、皺だらけの茶色のスカート。


「〇〇まで」

「はい」


 近くもないが遠くもない。思ったよりも売り上げが少ない。運転手さんはガッカリした。老婆はずっとお腹に手を当て俯いている。運転手さんは、その老婆を“怪しい婆だ”と思っていた。だが、幽霊ではないと思っていた。聞いた話、幽霊は白い服で長い黒髪らしい。白髪の老婆の幽霊なんて聞いたことが無い。


「あ、ここで止めてください」

「〇〇〇〇円です」

「お釣りください」

「はい、お釣りです」

「毎度ありー!」


 老婆は早足で去って行った。運転手さんは後部座席を見てビックリ! 座席から足元にかけて真っ茶色だったのだ。う〇こだった。



 運転手さんいわく、“幽霊よりもう〇この方が怖い”とのことだった。







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タクシーの運転手の体験! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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