第1話

蝉の声は静かになり、夜は秋の虫の声が聞こえ始めた。

日中の暑さはまだ厳しいけれど夜は少し涼しく感じる。

八月も終わりのある夜、久しぶりに五人で集まった。

少しお酒を呑んだり、バーベキューをして楽しい時間を過ごす。

まだ明るい時間に始めたのに、気付けばもう暗くなっている。

そろそろ解散だろうかという頃、徐に結翔が花火を取り出す。

「買い出しの時買っといたんだ。夏といえばコレだろ」

「結翔にしては気が利くじゃない」

「お前だけ花火ナシな」

「ちょっと!!」

いつものように紬希とじゃれている間に、私と遥斗はバケツやロウソクを準備する。

花火なんて何時ぶりだろうか。

数年前にもしたかもしれないが、ワクワクする。

「準備できたぞ」

遥斗の声にじゃれていた二人はいつくかの花火を持ってくる。

開封して、それぞれ好きな花火を手に取っていく。

火をつける。

パチパチと散る火の花はとても綺麗で。

「花火、たまにはいいものだね」

「そうね」

咲凪の言葉に皆で頷く。

皆で呑んだり食べたり、お終いに花火をして。

こんな夏を何時までも過ごせたらと思う。

ずっと、いつまでも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る