バットエンドは脚力で回避するんだよ!!

巡子

第1話 思い出す。


ある朝、いつも通りに目が覚めた彼女ーアリシアは、突然の耐え難い頭痛に襲われ絶叫した。


「アアアァァァアアアァァァアアアアアッ!!!」


頭が割れんばかりの頭痛に苛まれ、堪え切れずにベットの上で蹲る。

途端に耳に鈍いノイズ音が響き、やがて全身を何かに突き飛ばされたような痛みが襲った。


キキーーーーーーーーーーーーー……

ドンッ!!!


衝撃音。鈍い体の痛み。真っ赤に染まる視界。

やがて鮮明に蘇ったそれは、間違いなく自分が過去に経験したはずのものだった。

否、過去では無く前世といった方が正しいか。


全てを思い出した彼女はベットの上で両手足を放り出したまま、涎を垂らして呆然と天井を見上げた。


「そっか…そっっっかぁ……」


全部納得したような、スッキリしたような声で彼女は呟く。


「そういや私、悪役令嬢だったわ。」


アリシアーそれはやがて、主人公の恋人達に殺されるゲームの悪役令嬢の名前。

かつて自分の妹が遊んでいた乙女ゲームのラスボスである、醜い少女の名前だった。

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