第27話 Eランク昇格試験 よん -終-


………………

…………

……



 怪我をしたスライムを助け、メルルたちは森のさらに奥へと進む。

 奥へと進むにつれて徐々に暗くなっていく。視界はそのグラデーションに上手く馴染めない。


 そして最深部と思われるところに到着すると、そこにはあの悪いスライムがいた。


「お、誰かと思えば、さっきの御一行じゃありませんか」


 悪いスライムは皮肉っぽくお辞儀した。


 その隣には倒れたレンの姿。

 メルルは警戒心を強めた。


「あんた、この子のスライムバッチ、奪ったでしょ! 返しなさい!」

「ケケケ、弱いのが悪い。俺様は欲しいものを力尽くで獲りにいく。ケケケ」

「そんなの納得できるわけないでしょ!」

「納得しなくてけっこう」

「返しなさい」

「ケケケ、いやだ」

「返しなさいよ!」

「ケケケ、力尽くで奪ってみな」

「……ふん! どうなっても知らないわよ!」


 メルルは火属魔法の火龍砕大岩ボルケーノを放つ。火属魔法陣より火柱が上がる。そして対象へその矛先をコントロールする。


「いっけぇぇぇぇっ!」


 悪いスライムに直撃………………

 したように見えた。

 しかし悪いスライムは無傷のまま不敵に笑うのであった。


「その程度、かい?」


 メルルは現実を直視し、力無く崩れた。



「私、魔力使い切っちゃったわよ……」


 メルルは無力感に陥った。


「どうする? 続ける?」


 メルルは悪いスライムの問いかけに一言も応答することが出来なかった。


「じゃ、俺様の番だね」


 悪いスライムは詠唱を開始すると、丸い円陣が出現した。そしてその円陣からは鋭い大鎌を持った死神が現れた。悪いスライムは下僕しもべに攻撃命令を下した。


「もうだめ、かも……」


 髑髏の死神は手持ちの大鎌を振り下ろす。メルルたちは絶対絶命かに思われた。

 が、キーンッ! という金属音が響くとそこには 謎の女性 が立っていた。死神の大鎌を剣一本で止めていた。


「やらせない……、やらせないんだからぁぁぁぁああああああああああああっ!!!!!!!!!!!」


 謎の女性は魔法精製した剣でその大鎌を弾き返すと呪文を唱え始めた。幾何学的紋様が謎の女性を覆う。魔法壁バリアを展開した。メルルたちを護るようにして。

 次に召喚魔法を展開。謎の女性は大地の巨人ティタンを呼び出した。


「お姉ちゃんを、泣かせるなぁぁぁぁああああああああああああっ!!!!!!!!!!!」


 大地の巨人ティタンの一撃は死神を撃退し悪いスライムをも、その息の根を止めた。



 謎の女性はことが済むと、そそくさとその場を去って行った。


「あ、メルルさん、大丈夫ですか?」


 先ほど助け出したスライムがメルルに訊く。


「あ、ごめん。なんかもうダメかなって思って……」

「謎の女性が来て、悪いスライムを倒してくれました。これでスライムバッチは戻りました。ありがとうございます」

「え、そうなの?」

「これ、よかったら」


[メルルは スライムの心 を手に入れた!]


「あ、これ、レンが欲しがってたやつ! でもいいの?」

「ええ、もらってください」

「ありがとう!」


 スライムは嬉しそうに家へと帰っていくのであった。

 一方、レンはただ死体のように倒れているだけであった。メルルはレンを連れてギルドに戻るのであった……。







【ギルド】


 アルベルト神父に今度はちゃんとレンを蘇生してもらうと、メルルはギルド嬢のミアさんに話しかけた。


「ミアさん、一応スライムの心を手に入れました」

「よくやったわね」

「まあ、なんか助けられちゃったけど」

「運も実力の内よ。とにかくこれでレンはEランクテイマーになれるわ。といってもFランクテイマーとあまり変わらないけど、ね」

「よっしゃ! なんか知らんけど、Eランクテイマーだ!」

「私に感謝しなさいよ」

「わ、わったわった」


 そんなこんなでなんとかレンはEランクテイマーに昇格することができた。




//////////

いやいや、レンさん、何もしてないやんけ!?

メルルの、いや、謎の女性の活躍で無事?Eランクテイマーに昇格。

レンさん、頑張れ……!



次は何の話を書こうかしらん。

σ(^_^;)?




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