第7話青春

「これって・・・」

「驚いた?」

「ああ」


祖父の部屋は、部屋中が鉄道模型のレイアウトで埋め尽くされている。

車両の数もかなりある。


存命中から、「余生は鉄道模型を楽しみたい」と言ってはいたが、その願いは叶ったのか。


「気づかない?」

「何が?」

「車両」

「車両?」


車両は、今は引退した国鉄型の車両だ。

JR化後や私鉄の車両は、全くない。


「自分の青春を再現したかつたんだって」


そういや、祖父ちゃんは国鉄の勤めていたんだったな。

民営化後には辞めたみたいだが・・・


あれ?

年代的に合うのか?


まあ、男は細かいことは気にしない。


「これを片付けるのは、手間がかかるな」

「片付けなくていいよ。むしろ逆」

「逆?」

「『レイアウトに完成なし』裕也くんには続きを作ってほしいって」

「僕が?」


そんな話は聞いていない。

本当にレイアウトを作成しているのは、今初めて知った。


「それが、ここにいる間の裕也くんの仕事」

仕事って・・・


「おばあちゃんの部屋はもっと驚くよ」

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