なつやすみ

勝利だギューちゃん

第1話 出発

「ねえ、あんた」

部屋でごろごろしていると、母に声を掛けられる。


「何?忙しいんだけど」

「何が忙しいの。寝ているだけでしょ」

「だから忙しい。ごろごろしなくちゃいけないから」


そうなのだ。

ごろごろしていて忙しい。


「屁理屈いってないで、仕事頼まれてくれる?」

「やだ。貴重な休みを邪魔されたくない」


そうなのだ。

俺は高校生。

貴重な青春時代だ。

夏休みを満喫するために、宿題は速攻で終わらせた。


「だから仕事を頼みたいの」

「どんな仕事」

「それは・・・」


それから数日後、僕は汽車の中にいる。

電車でなくて、汽車。

この表記で、どこに向かっているかわかるとおもうが、田舎。


祖父母が昨年なくなり、空き家となった家の掃除をさせられることになった。

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