第29話 わたくしのお願いを聞いて欲しいな

 栗島勇side

(やっぱりありあちゃんは一番苦手だな)

「わたくしは大好きだよ。ゆうちゃん」


 勇の考えていることにあわせて亜梨愛は言葉にする。


「ゆうちゃんは基本わたくしたちに会いたくなくて逃げるからね」

「!」


 亜梨愛は勇の目線に合わせる。


「ゆうちゃん、別にとって食べたりしないから大丈夫だよ」


 亜梨愛は勇の瞳を覗き込む。


「……」


 亜梨愛に瞳を覗き込まれて勇は身体が固まる。


「ゆうちゃんはわたくしから行かないと会えないからね」


 笑顔で勇の瞳をして話をする。


「安心して、ゆうちゃんのやることは邪魔しないから大丈夫だよ」


亜梨愛は優しい声で勇に言う。


「……」


 勇は無言で身構える。


「栗島家は放任主義だから別にゆうちゃんを縛らないから大丈夫だよ」


 亜梨愛は言うと勇は紙を見せる。


「……(ありあちゃんは僕に会うために目的があって来たんだよね)」


「別に目的はないよ」


 亜梨愛は笑顔で即答する。


(嘘だ)

「嘘だ、と思ってるみたいだけど」

「!?」


 亜梨愛は勇が思ってることを言葉にする。


「わたくしはただ、ゆうちゃんに会いたかっただけだよ」

 

 亜梨愛は優しい表情と笑顔で勇の瞳を覗き込む。


「……」


 勇は無表情で亜梨愛の瞳を見返す。


「!?」


 亜梨愛の言葉に勇は寒気を感じた。


「さてさて、ゆうちゃん」


 亜梨愛優しい声で言う。


「……」


 亜梨愛の声に勇は警戒をする。


「2時間後にはわたくしたちは家からしばらく離れるから帰って来て大丈夫だよ」


 亜梨愛は優しく言う。


「……?」


亜梨愛の言葉を勇は意味を理解出来ずにいた。


「勇ちゃんは大好きな、大好きな、まりあちゃんとのんびり暮らして引きこもりたいんでしょ」


 亜梨愛は勇の瞳を見る。


「……」


 勇は無言で亜梨愛の言葉に頷く。


「別にゆうちゃんの生活に関しては邪魔はしないから安心して大丈夫だよ」


「……」


 勇は亜梨愛に紙をを見せる。


「……(ありがとう)」


 優しい笑顔で勇に目を向ける。


「ただ、ゆうちゃんには一つだけ大事なお願いをしたいかな」


 亜梨愛は真剣な表情で勇の瞳を覗き見る。




「……」


 勇も真剣な表情で亜梨愛の言葉を待つ。







「まりあちゃんを守って頂戴」


「……」


 勇はすぐに頷いた。


「あ、間違えた」

「?」


 亜梨愛の言葉に勇は戸惑った表情を見せる。







「!?」


 勇は言葉の重さを感じて緊張して体が固まる。













「命をかけてまりあちゃんを守りなさい」


 母は重圧のある言葉を言う。


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