第9話 世界会議と家族会議

 世界会議side

「それでは、緊急会議を始める」


 一人の言葉によりリモートで会議が開始される。


「会議内容は皆知っての通り女神の発表にあったサイレンスマジシャンについてだ」


 疲れた様子で言う。


「……現状だがサイレンスマジシャンがSSSダンジョンを攻略したことにより大きく経済、計画に支障をきたしている状態にある」


 リモート状でもかなりざわついている。


「現在、女神からの発表があってから、政府が管理しているSSダンジョンに関わっている企業の株価が下落してダンジョン資材も暴落しています」


 現状SSダンジョンは現在世界で5箇所見つかっ

ている。


 5箇所のSSダンジョンはそれぞれの国の政府が管理して独占している。


 SSダンジョンを独占している国はダンジョンの資源を独占して高額な額で輸出したりしてかなり財政的に潤いを見せている状態である。


「……今回の女神の発表で資産家、スポンサーも契約解除、違約金の請求、賠償請求等の連絡が大量に来ている状態になっています」


 秘書からの報告を聞き頭の痛い内容を聞かされ会議の参加者は


(((((どうしてこうなったんだ!!)))))と大きな声を出したいぐらいに発狂したくなる状況である。


(そもそも絶対に勝てる出来レースの基盤を作り上げたはずなのに)


 世界政府はSSダンジョンが発見されてから徹底的に管理するように発表をした。


 メディア、テレビ、SNSの発表だと危険だからというのが表側の理由である。


 ただ、本当の理由は、最強プレイヤーを世界政府が雇って行きダンジョンの資源を独占するという計画を裏側で動いていた。


 失敗しないようにする為にはプレイヤーの管理が必須である。


 その為にDA(ダンジョンアプリ)を開発して世界中に無償で使えるようにした。


 DAは身分証明書でありダンジョンに入る為に必須条件にした。


 DAを普及したことにより世界中の個人情報を管理して調べられるようにして行き世界のプレイヤーレベルを把握することに成功した。


(DAでプレイヤーの情報管理に成功して、そこから資産家、スポンサーに100%儲かります。100%勝てる投資ですと謳い文句で資金の援助にも成功した)


(結果で言えばダンジョンが出現してから3年後、計画は軌道にのり大成功)


 過去の成功を思い出し始める。


(最強プレイヤーを高い金で雇い入れてSSダンジョンの探索要因としてする)


(そこから世界の調査をして行きSSダンジョンがあったら政府に話を持って行き協力関係を結んで行った)


(抜けがけがないように同盟や契約書を結んだりした)


(そして、絶対勝てる道すじが出来たので今度はSSダンジョンを攻略するのも計画されていた)


(本来なら10年目の今年にSSダンジョン攻略予定で経済効果、クリア報酬、1位の定期報酬が来るはずが……)


 歯を食い縛った様子になる。


(現段階で9割近くはSSダンジョンはクリアしていてほぼ100%攻略出来る状態を作っていたのに)


 顔を赤くした様子で考えている。


(((((サイレンスマジシャンを見つけ次第確実に始末する!!)))))


 殺気だった様子で皆の心が一つになり皆画面を見る。


「……さて、我々がまずやらないと行けないことはこの後の対応だ」


 ゆっくりと呼吸を整えて言う。


「まず、サイレンスマジシャンを探すことだが……」


「現段階でサイレンスマジシャンに関する情報提供の募集をしています」


 秘書は話をする。


「有力な情報にはいくらでもお金を出す」


 目が血走った様子で言う。


「……現状一切情報がない状態だからな」


 ため息をついた様子で言う。


「後は、資産家、スポンサーには待って貰うように時間稼ぎをする」


 冷や汗をかいた様子で言う。


(ダンジョン、プレイヤーに関して徹底的に情報管理していながらどうしてこんな想定外イレギュラーは起こったのだ)


 考えながら頭痛薬を飲み始める。


「……それでは会議を終わる」


 会議は話は少なく終わった。




 家族会議side

「これから緊急会議を始める」


 1人が声を出す。


「「「「……」」」」


 4人が無言で頷く。


「まず、会議内容はサイレンスマジシャンに関することだ」


「「「「……」」」」


4人は無言で聞き始める。


「今回は女神の発表によるサイレンスマジシャンのことで国も想定外イレギュラーが起こったことで……SSダンジョンを独占している政府はしばらくは動けないだろうと思う」


「「「……」」」」


 4人は無言で頷く。


「ですので、みなちゃん今から実家へ帰還して頂戴」


「……」


 みなと呼ばれた者は無言で頷き、部屋を出ていった。


「……ねえ、どうして、みなちゃんを実家に帰還させるの?」


「え、そんなの決まってるじゃない」


「……」


 答えを無言で待つ。




「母の勘だよ」


 作り笑顔で言う。


「勘?」


 答えを聞いて戸惑った表情を見せる。


「そう勘だよ」


 笑顔で答える。


「「「それに全く連絡を寄越さないからね」」」

「!!!」


 3人が殺意と怒気を見せると1人はびくっとなる。


「……本当は行きたいんだけど手が離せないからね」


 祖母は不機嫌そうな表情で言う。


「だから、みなちゃんには状況次第でここに連れて来て貰おうかな」


 母は笑顔で言う。


「さて、どうなることやら」


 叔母は無表情で言う。


「今はどう動くか見てよう」


 母は黒い笑みを浮かべて言う。


 こうして家族会議は終わりをむかえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る