第7話 悪戯好きの姉(栗島真理亜)は突然、緊急告知、発表が流れて……

 栗島真理亜くりしままりあside 軽い過去話


 私は栗島真理亜、今は高校卒業して家で絶賛、仮ニートをしている。


 昨日までは私1人で暮らしていた。


 ゆうくんはしばらく別なところで引きこもり生活をしていて音信不通だった。


 祖母、叔母、お母様、姉、妹がいるがダンジョンが出来てから忙しく色々なところを飛び回っている。


 時々誰かが帰ってくる度に「ゆうちゃんは?」と必ず聞かれる。


 私は聞かれる度に(今、別な場所で引きこもっていて没頭していることがあるから邪魔しないで)と言われていて私も会えてないのよね。


 真理亜は帰って来る度に悲しそうな表情で答えていた。


 ただ3、4回目に帰って来た時に祖母、叔母、母は「ねえ、ねえ、嘘つきさん」と言われてびくっとなった。


「「「ゆうちゃんに会いたいな」」」


 3人の作り笑顔で私を見て来た時は冷や汗が出てきてゆうちゃんに今連絡取れないことを素直に話すと人を殺せるぐらいに祖母、叔母、母は瞳孔を開いて私の瞳を覗き始める。


「……」


 私は人生で一番の窮地に追い込まれる。


「……ゆうちゃんから手紙を預かってるから見て欲しいな」


 私は涙目になりながら言う。                


「「「見せなさい!!」」」


 3人でゆうの手紙を読んで行く。





「「「まりあちゃん」」」」

「!!」


 3人は私の名前を呼ぶ。


「ゆうくんが戻り次第、家族会議処刑会議するからよろしくね」


 祖母、叔母、母は作り笑顔で私の瞳を覗き見て言う。


「……」


 私は涙目になりながら震えながら頷いた。


「後、あたいらはしばらく家に戻れないからよろしくね」 


 叔母が真理亜に言う。


 「……」


 私は無言で頷いた。


「後、ないとは思うけど内緒話や隠し事をした場合の処遇もあるからよろしくね」


 母は耳元で言う。


「……」


 私は首を横にふって必死に何も隠し事をしてないことを無言で母に視線で訴える。


「「「それじゃあ行くね」」」


 祖母、叔母、母は挨拶して家を出て行った


 そこからしばらく年月が経ち私はアルバイトしたりのんびり家で過ごしていた。




 そして、ある日の朝に気付いたら勇は音も気配もなく当たり前のような感覚で椅子に座っていた。


 そこで真理亜は間近で勇とかなり久しぶりに再会をした。







(朝に会ったゆうちゃんが特に大きく変わった様子もなかったな)



 私はイライラしながらゆうちゃんが早く帰って来ないか待っているが帰ってくる気配がなかったため私は、自分の部屋に戻りパソコンを開き始めて動画を見

ようとすると突然、ピン、ポン、パン、ポンと音が聞こえた。 


(あれ?定期告知にしては早くないかな?)


 ダンジョンが出現してから定期的に空からメッセージが流れたり、ダンジョンの攻略や何かしらの告知やランキング更新の際に出て来たりアナウンスがある。


[皆様こんにちは!!いつもアナウンスをしております女神です!!]


 元気そうな女性の声が響き渡る。


[皆様ダンジョンライフを楽しんでいますか?]


 女神はマイペースに声を出して行く。


[さて、皆様に緊急告知、発表があります]


(緊急告知?)


 真理亜は緊急告知という言葉に引っ掛かりを覚える。


(……確か女神が声を出してアナウンスがある時は本当に大きい変化や何かがあった時だな)


 ダンジョンが出現して約10年経っているが女神がアナウンスで入ったのは数回で指で数える程度の記憶である。


[な、なんと!!今まで見つけることが出来なかった無限の空間ダンジョンが発見され!!]

「ふぁ!!!」


 無限の空間ダンジョンとは10年経っても一切手がかりがなく見つかっていないダンジョンである。


[さらに攻略したプレイヤーが誕生しました!!]


 「……ふぇ!?」


 無限の空間ダンジョンの難易度は一番最高難易度のSSS(トリプルエス)である。


 発表する前までは発見されている最高難易度のダンジョンはSS(ダブルエス)である。


 SSダンジョンが初めて発見されたのは約9年前であり、そこから世界で何ヵ所か発見されている。


 ただ、10年間SSダンジョンは発見されてはいるが攻略者プレイヤーは出ていない。


(SSSダンジョンを発見して、いきなり攻略したなんていったい誰だろうな)


 真理亜はアナウンスを聞いて驚いた。


[それでは攻略者プレイヤーを発表します]


「……」


 真理亜は発表を無言で真剣な表情で待つ。


[攻略者プレイヤーはサイレンスマジシャン!!]


 発表を終えた瞬間、世界は一瞬、静かな沈黙状態になった。


(……誰?)


 真理亜はプレイヤー名を聞いてもわからないでいた。


[サイレンスマジシャンにはダンジョンマスターの称号、ダンジョン世界ランキング1位、他にも色々と毎月貰える報酬や権利が与えられます]


「……」


 真理亜は無言でパソコンを開いてギルドやアプリに登録しているプレイヤーリストを開き始める。


[なお、報酬に関してはサイレンスマジシャンがランキング1位から陥落するまで永続的に貰えます]


 (ランキング1位になるにはSSSダンジョンをサイレンスマジシャンより早くクリアするか、SSSダンジョンを2つクリアするだけど……)


 真理亜はパソコンモニターを見ながら考え始める。


(SSダンジョンですら攻略者がいないなかで、いきなりSSSダンジョンをクリア出来るプレイヤーが現れるなんて世の中わからないものだな)


「……リストには載ってないな」


 真理亜はリストを見ているがサイレンスマジシャンは登録されてなかった。


[それでは以上で発表を終わります]


「……」


 真理亜は無表情で無言になる。


[それでは皆様良いダンジョンライフを!!]


「……」


 女神の発表が終わる。


(世界、政府、経済、掲示板、全てがかなり荒れるだろうな)



 今回の女神の発表がきっかけで世界がサイレンスマジシャンを探す為に動き出そうとしていた。

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