第6話 一緒に登校
私がお付き合いしている高野くんには可愛らしい
少しからかうだけですぐほっぺを真っ赤にしちゃうところも可愛らしい。この前電話したときだって、必死に彼女さんのフリをしちゃって。本当に高野くんのことが好きなんだな…。
でも、そこは私も同じ。誰にでも優しくて、温かい高野くんが好き。だから、いつかちゃんと優香ちゃんにも認められる彼女にならないと!
「おはよう、高野くん」
「うげっ、泥棒猫…」
そのためにはまず一緒に登校するところから始めようと思うの。こうして一緒にいる時間を増やすことが一番手っ取り早く仲良くなる方法なんじゃないかな。
私の顔を見た優香ちゃんはあからさまに嫌そうな顔をしているけれども、私は諦めない。
「優香ちゃんもおはよう」
「……おはようございます」
「朝から迷惑だったかしら?」
「そりゃそうよ!私と春にぃの愛の——っ」
「いやぁ、確かにびっくりしたけど俺は九条さんと一緒に登校できるの嬉しいよ!」
高野くんが優香ちゃんの口を塞ぎながらそう言ってくれて少し安心した。
「よかった、それじゃあ行きましょうか」
私と優香ちゃんのふたりで高野くんを挟むように立っていると、これ見よがしに彼女は高野くんの腕に強く抱きついた。
「ふふんっ、兄妹だからこんなこともできちゃうもんね〜っだ!」
「優香…歩きづらいから離れてくれ…」
「そうよ、優香ちゃん。大好きなお兄さんに転んで怪我でもさせてしまったら大変でしょう?それに…そんな貧相な胸じゃ巨乳好きの高野くんは喜ばないわよ?これくらいはないと」
そう言って私も彼の腕に胸を押しつけるようにして抱きついた。ダメだって分かっていても、どうしてもからかいたくなっちゃうの…。
「く、くくくくく九条さん!?俺は別にそんな趣味は…っ」
「いいのよ、高野くんが巨乳好きだってことはこの前の電話で聴こえてたから」
「それは優香が勝手に言っただけで…!」
「…そう、それならこの腕は離すわね」
「あっ…」
そんなにも悲しそうな顔をされるともっと意地悪したくなっちゃうじゃない…。でもこんなことばかりしていたら嫌われちゃうのかな…?
私がそんなことを考えていると、優香ちゃんが口を開けた。
「ふ〜ん、この前の話、九条さんにしてもいいのかなぁ?」
「この前?」
「あのね、私が春にぃの部屋を勝手に漁ってたらね、ベッドの下から——うぐっ」
話の途中で高野くんは彼女の口を塞いでしまった。ベッドの下からどうしたんだろうか?それが気になって仕方がない。そんな私の心情を察したのだろうか、彼はこう言う。
「べ、ベッドの下から急に出てきてこいつを驚かしてやったんだよ!勝手に入るなって!」
「そうなの…?仲が良くて羨ましいわね」
ずっと優香ちゃんは反論したそうにしていたけれど、今は聞かないことにした。
いいなぁ、妹がいるって…。でももし私が高野くんと結婚したらこんな可愛い子が義妹になるのかな…?なんてね。
義妹がブラコンすぎて困る! TMK. @TMK_yoeee
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