第2話 妹やめるもん
家族での夕飯中、なんとなくで流していたテレビ番組のネタが結婚の話に変わったことに気づいた俺は、すかさず電源を切った。
あぁ、これはまたいつもの流れがくるな…。
「私ねー、結婚するなら春にぃがいいなー」
ほらきた、幼い頃は可愛く思えるが、この年齢になると恐怖しか抱けないこのお決まりの台詞が。
「いくら義理とはいえ、お前は妹なんだぞ…。そんなバカなこと言ってないで早く食えよ」
「じゃあ、妹やめる!優香、妹やめるもん!」
「はぁ…、勝手にしろ…」
呆れてそれ以上は何も言葉が出てこなかった。父さんも母さんも『二人とも仲が良いわね〜』と返すばかりであまり本気にしていない様子だった。
早くその場を離れようと、急いで箸をすすめて、食器を片付けて風呂に入ることにした。
「ふぅー。やっぱり
湯船に肩まで浸かり、一息ついた。
日を重ねるごとに悪化していく優香のブラコンのせいで、疲れが溜まっていたからな…。早く彼氏でもできて兄離れしてくれるとありがたいんだが…。
そんなことを思っていた矢先に、優香が突然中へ入ってきた。
「失礼しまーす!春にぃ、お背中流しに来たよー!」
「はぁ⁉︎」
そこ立っていたのは、小柄で華奢な体をしていて、控えめな胸の女の子——つまり、裸の優香だった。
「お、お前、なんで入ってくるんだよ!」
「えぇー。兄と妹のスキンシップだよー?」
「お前、さっき妹やめるって言ってただろ…」
「何言ってるの?妹やめれるわけないじゃん。私のことが好きすぎてバカになっちゃったの…?」
自分が言ったはずの台詞なのに、優香は真顔で返してきた。こいつ…!妹じゃなかったらブン殴ってた…!
「せめてタオルくらいは巻いてこい…!」
「ふぅん、タオル巻いたら一緒に入っていいんだぁ…♡」
こいつ…さっきから俺のことをからかいたいだけだろ…!
頭に血が上ってしまい、自分が今裸だということを忘れて勢いよく立ち上がると、優香は視線を下の方へずらした。
「…ぱ、ぱお〜ん…?」
「なんのことだ?」
ゆっくりと彼女の視線の先にあるものを確認し、自分の今の状態に気がついた。
「春にぃったら意外と大胆なんだね!?背中流すのはまた今度ねっ!」
「…お、おう」
穴があったら入りたいって、こういうときに使うんだな…。
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