河童になったらすごい嫌われるじゃん
盟友カラス
第1話 はじめての冒険
ある雨がしとしと降る日の夜、僕たちは墓場を歩いていた。
僕たちは夏休みを残すところ、一週間を迎えていた。
肝試しか?いや、そんな遊びできたんじゃあない。
こっちは、大まじめだ。
もしも、ただの肝試しだったなら、みんなそれなりに楽しんでたんだろうけど、目的が目的なだけに、全員が少しピリピリしている。
気味が悪いし、じめじめとした湿気が身体中にまとわりついてきて、一人は今にも泣き出しそうじゃあないか。
「ねえ、もう帰ろうよ」
カズキがなみだ目になって言った。
「なに言ってんだよ。ここまで来たら見つけるまで帰らねえよ。二度とこんなチャンスはないんだ。よる遅くに、それも墓地なんかには、四人そろって来れないだろうしさ」
そう返事をしたのはサクヤだ。大きく強い声を出そうしているが、その声は震えている。
「カズキが怖いのはわかるよ。でも、一人で引き返して夜道を歩くよりは、僕たちと一緒にいたほうがいいよ」
この言葉は、頼れるハルキだ。ハルキはいつも正しい方向に僕らを導いてくれる、僕らのリーダーだ。
けれど今回ばかりは、カズキだけでも、一目散に逃げ出すべきだったのかもしれない。
「うん、そうだね。なんだって、キタムラ・ジュンコ先生に勝る、怖い妖怪なんかいるはずないし」
僕はなんとか笑いながら、そう言った。みんなも小さく笑い声をあげてうなずいていた。でも、この言葉もやっぱり、間違いだったのだ。
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