第4話 ダンジョン部
高校以上の校舎には、ダンジョンが存在する場合がある。
ダンジョン部とは、ダンジョンを守護するゲートキーパーの役割を担う。
しかも、入部すれば金が入るのだ!
それが目当てで、高校入学してすぐにダンジョン部に入る生徒が多かった。
しかし、ダンジョン部はよその学校に狙われる危険が伴う。
攻略されると、ダンジョンコアが他校に渡ってしまうのだ。
「
入学式のAI型校長先生ではない、本物の校長が、あたしに問いかける。
「あなたはダンジョン部がないため、ウチに入るつもりはなかったのよね?」
「はい。ダンジョン部のある他校に入学予定でした」
「なら、安心してちょうだい。ダンジョン部は本日をもって、再開しますから」
やったね。それなら、あたしは満足だ。
ダンジョン攻略しか取り柄のないあたしには、ダンジョンしかない。
「おばあちゃん。
「……はるたん。お前、キャラ変わってね?」
「家だと、このしゃべり方なのよ。いつもは、お前に合わせてるだけ」
そういえば、そうだったな。
「
何度か復活させようとした生徒も、多少はいたらしい。が、お嬢様ごときにこんな凶悪ダンジョンを攻略できるはずもなかった。維持・管理費も必要である。
金盞花のダンジョン部は、ずっと閉鎖されたままだった。
「たしか、無敗だったんですよね?」
「ええ。けれど、それは私が強かっただけなのよ。金盞花の強さではなかった。それを隠すために、わざわざ学校側がダンジョンを閉鎖したに過ぎないの」
しかし、と幹代校長は続ける。
「私の孫なら、私を越えられる逸材になると思ったのよ。二人に、私の跡を継いでいただけないかしら?」
あたしは、首を縦に振った。
しかし、はるたんはそうでもない感じ。彼女はダンジョンが身近にありすぎて、楽しくないのだ。
「ダンジョン一家で、家もダンジョンで、学校でもダンジョンなのよねー。どうしようかしらー」
「あなたは、洲桃さんとはダンジョンに潜るじゃない」
「それは、こいつのリアクションが面白いからよ。ダンジョンにはぶっちゃけ、興味がないの」
「それならなおさら、洲桃さんとコンビでダンジョンマスターになりなさいよ。リアクション見放題よ」
「それも、一理ありね」
結局、はるたんはノリで決めた。
「ですが、力を試させてください。参ります!」
校長の魔力が、膨れ上がる。
「やべえ! ダンジョンがぶっ壊れるんじゃねえのか!?」
「全盛期の一〇分の一ほどですけどね」
それでも、ここのボスを張るには十分すぎだ。
「いよいよこいつを使う時が来たぜ! 目覚めよ、ドラゴンキラー!」
「覚醒、ペールギュント!」
ウチはシャベルを剣に変えた。
はるたんも、ハンディモップを魔杖に変えて戦闘モードに。
一方の校長は、素手であたしたちに挑む。いや、爪がやたら伸びていた。
校長室が、知らない間にレンガに囲まれていた。コロシアムのような風景に変わっている。これが、ダンジョンコアの力か。
「おるあ!」
あたしの剣を、校長は赤い爪で受け止める。
「そのまま、動きを止めてて」
はるたんが、魔杖の先端に力を注ぎ込んでいた。
「闇には、光を!」
最大級の光属性魔法を、はるたんが魔杖から撃ち出す。
「それは五〇年前なら通用したわ」
校長は、片手だけではるたんの魔法をかき消した。
「本番はココから!」
散らばった光魔法の破片が、あたしの魔剣に集まってくる。
「ドラゴンキラーを、くらえ!」
ウチは【アッパースマッシュ】で、校長の爪をかち上げた。
「ウィインドゥ・カァッタ!」
反時計回りのつま先蹴りに風属性魔法をまとわせて、校長のアゴを狙う。
さすがによけられたが、校長の腕についていたカフスを弾くことはできた。
「見事ね。どうしてあなたたちほどの実力者が、五〇年前に現れなかったのかしら」
校長が、床に落ちたカフスを拾う。
カフスがピカッと光った。
さっきまでコロシアム風だった景色が、元の校長室に戻る。
「これで正式に、あなたたち二人を金盞花学園のダンジョン部員として認めます。顧問は私ね」
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