貴方の事が大好きで監禁までしてしまったヤンデレさんによる癒しタイム
相竹空区
ヤンデレさんは監禁がしたい
ソファでくつろぐ貴方はガチャリ、と玄関が開く音を聞く。
そして連続する施錠音。
過剰なまでに警戒した戸締りを行うその人が、疲れの滲む重い足取りで近づいてきた。
「……ただいま」
ボソボソと陰気な声で帰宅の挨拶をする彼女こそ、この家の主。
普段は真っ当に働いて貴方を養う"恋人"だ。
「今日もちゃんと繋がれてたみたいだね……良かった」
ジャラリ、と重い金属音が鳴る。
それは貴方の足に繋がれた足枷、そこから伸びる鎖から聞こえたものだ。
貴方はこの鎖で自由を奪われている。
「重いかもしれないけど、我慢して。喉を潰したのも仕方ない事なの。貴方叫ぶから……ごめんなさい、私にはどうしても貴方が必要だから」
彼女は貴方の隣に座った。
ピッタリと距離を詰め、顰めたような声がよく聞こえる。
「貴方は……どう?私の事が必要?」
「うん、そうだよね。必要だよね」
「ふう、今日は一日とても疲れた。だから貴方と一緒に寿命を消費したい」
彼女は貴方にもたれ掛かってくる。
身体を寄せ合い、彼女の吐息がよく聞こえた。
「こうして貴方に触れていると安心する……ここにいるんだって思えて、幸せ」
「ずっと私の側に居て。貴方が居れば、それだけで満足だから」
「貴方は……どう?何があれば幸せ?」
「私に出来る事なら、なんでも……なんでもしてあげるから」
貴方の潰されたか細い声を聞き取ろうと、彼女が顔を寄せてくる。
「い、いや……いやし……癒し?分かった。私が貴方を癒すから、貴方はそのまま受け入れて」
貴方の頭に恋人の細指が掛かる。
そのまま優しく胸元まで抱き寄せられて、抱擁の向こうに鼓動を感じた。
「抱き締めるのは癒しになるはず」
そして頭にはこそばゆく、そして安心する感覚が。
子供をあやすように、優しくゆっくりと髪に指を通して撫でているのだ。
「いい子、いい子……どう?癒される?」
「私?私は別に……でも、貴方が私の頭を撫でて癒されるなら、好きに撫でて」
今度は逆に、恋人は貴方へ寄りかかり頭を差し出す。
貴方は慎重に、その柔らかな髪に指を通して彼女の頭の形を確かめるように手を動かすと、恋人はこそばゆさから声を上げた。
「んっ……別に、気にしないで。好きにしてくれて構わないから……私は貴方に触れられてる、それだけで幸せだから」
「あなたが癒されてるなら……嬉しい」
「私はあなたの癒されてる顔を見ると癒されるの。それだけじゃなくて、私が顔を近づけると恥ずかしそうにするあなたの表情も、唾を飲み込む時に動く喉、座り直そうとするみじろぎ、首筋から感じるあなたの匂い、私の匂いを感じてるあなたの鼻、額から流れる汗、ピクって動く指先、強張る筋肉、噛んだ時に出てくる血の味、身体を寄せると感じる鼓動に吐息……全部が私の癒し」
「だからただ側に居て、離れないで……私はそれで世界一幸せだから」
「その為なら……………」
「──貴方は、他に何がしたい?」
そう言った恋人から、大きなお腹の音が聞こえて来た。
彼女は空腹なようだ。
「……ごめんなさい。少し、お腹が空いたみたい」
「貴方はどう?お腹、空いた?」
「うん、そうだと思った。貴方の朝食と昼食の量、普段の消化と排泄のペースから考えて今は空腹だって」
「……監視?別にしてない。これは健康管理」
「じゃあ、ご飯にする?……大丈夫、血は混ぜないから。もう、やらないから食べて?」
「もちろん、それ以外の体液も混ぜないから」
「毛?…………ダメ?分かった、毛も混ぜない。どうせ消化されないし……」
「作っているところを見たいの?……本当に?」
「別に……何も混ぜないから。やましい事はないよ」
「うん、約束は守る。貴方が好きだから」
「貴方も私の事……好き?」
「うん、知ってる。ありがとう」
「じゃあ待ってて」
彼女の足音が遠ざかる……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます