第4話 森のこども
ユウタが森の光で魔法使いを打ち倒したかに見えたその瞬間、突然、森全体が静まり返りました。動物たちも息を呑んで見守る中、魔法使いが地面に倒れ込んでいたはずの場所に、何かがうごめいているのが見えました。
「終わったのか…?」ユウタは胸を撫で下ろしつつも、まだどこか不安な気持ちが残っていました。
その時、倒れた魔法使いの体が黒い影のように溶け始め、その中から小さな子供の姿が現れました。その子供は薄汚れた服を着ており、目には涙が浮かんでいました。
「だ…だれ?」ユウタが戸惑いながら近づくと、その子供は震えた声で言いました。
「ぼくは、魔法使いじゃないよ…」
ユウタも動物たちも驚いて立ち尽くしました。すると、フクロウが翼を広げて言いました。「これは魔法使いが、彼の姿を借りて力を手に入れたんだ。つまり、この子は魔法使いの操り人形だったんだよ。」
「えっ、じゃあ…」ユウタは困惑しながらその子を見つめました。「ぼくが戦ったのは、本当の魔法使いじゃなかったの?」
その子供は首を振り、「魔法使いは、ぼくの中に隠れていた。彼はずっと、ぼくを使って森の力を集めようとしていたんだ。でも、君が森の力を信じてくれたおかげで、ぼくは解放されたんだ。」と答えました。
突然、空が裂けるようにして巨大な影が現れました。それは、真の魔法使いで、今までのすべては彼の計画の一部に過ぎなかったのです。解放された子供の力を使って、今度は自らの姿で現れた魔法使いは、さらに強大な力を持っていました。
「君たちは私の計画を台無しにしたが、まだ終わっていない!」と、魔法使いが叫びました。「この森の全てを飲み込んで、私は不死の存在になるのだ!」
ユウタは驚きと恐怖で動けなくなりましたが、ウサギが彼の手を強く握りしめました。「まだ希望はあるよ、ユウタ。森と君が一つになれば、彼を止められる。」
その言葉に勇気を取り戻したユウタは、森の動物たちと心を一つにし、再び立ち上がりました。今度は森そのものが、彼らと共に魔法使いと対決するために立ち上がったのです。木々が根を伸ばし、花々が光を放ち、森全体が一つの巨大な生命体となって魔法使いに立ち向かいました。
そして、ユウタはその中心に立ち、全ての力を集めて最後の一撃を放つ準備をしました。森の声が彼にささやきました。「君が信じる限り、森は君を裏切らない。」
こうして、真の戦いが始まりました。
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