第3話 暗い森

 ユウタと動物たちは、魔法使いが住むという森の奥深くに向かって進み始めました。道中、木々は次第に暗く、風は冷たくなっていきました。空は黒い雲に覆われ、まるで森全体が何か悪い予感を感じているかのようでした。


「気をつけて、ここからは魔法使いの力が強くなる場所だ。」フクロウが警告しました。


ユウタたちは注意深く進みますが、突然、足元の地面が揺れ始めました。木々が不気味にざわざわと音を立て、森が生き物のように動き出したのです。ユウタは恐怖で立ちすくみましたが、ウサギが急いで彼の手を引きました。


「急げ!これは魔法使いの罠だ!」ウサギが叫びます。


ユウタと動物たちは必死に走りましたが、地面が割れて巨大な木の根が空中に舞い上がり、逃げ道を塞ぎました。その時、森の中から低く響く声が聞こえてきました。


「ここまで来たか、小僧と愚かな動物どもめ。」


暗い霧の中から、長い黒いローブをまとった魔法使いが現れました。彼の目は冷たく光り、手に持った杖から闇の力が放たれていました。動物たちは身を寄せ合い、ユウタを守ろうとしますが、魔法使いの力は強大でした。


「この森は私のものだ。私が全ての力を手に入れれば、誰も逆らえはしない。」魔法使いは不敵に笑いました。


ユウタは震えながらも、勇気を振り絞って立ち向かいました。「この森は、動物たちと一緒に守るんだ!絶対に渡さない!」


しかし、魔法使いは嘲笑い、強力な魔法を放ちます。暗黒の風がユウタたちに襲いかかり、彼らを絶望の中に突き落とそうとします。


その時、森全体が突然輝き出しました。木々が再びざわめき、光が差し込んで、魔法使いの闇を押し返します。ユウタが目を開けると、森の木々や草花が一斉に声を上げました。


「ユウタ、今だ!森の力を信じて!」


ユウタは手を伸ばし、森から溢れ出る光を受け取りました。森の力がユウタの体を通り抜け、彼に不思議な力を与えます。魔法使いが再び魔法を放とうとしたその瞬間、ユウタは強く心の中で叫びました。


「森よ、ぼくたちを守って!」


すると、ユウタの手からまばゆい光が放たれ、魔法使いに向かってまっすぐ飛んでいきました。魔法使いは驚き、必死に防ごうとしましたが、光の力は彼の闇を一瞬で打ち砕きました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る