甘々清楚な聖女様が献身的に癒してくれる極上リスポーン・タイム

雨愁軒経

(1)はじめまして、勇者様

【ヒロインの膝枕の上に主人公の頭があるという想定で、正面・やや近距離】


「――様……勇者様」


「良かった、お目覚めになられたんですね!」


「あっ、まだじっとしていてください。召喚魔法の影響で、まだお身体が馴染んでいないでしょうから」


「こればっかりは外傷とも違いますので、治癒魔法では手が届かないのですが……」


「代わりに、わたくしの膝を枕にして構いませんので。ささ、体の力を抜いて、深呼吸をなさってください」



【後半の深呼吸実演は無声囁き】


「吸ってー、吐いてー。吸ってー、吐いてー。すぅー、ふぅー。すぅー、ふぅー」



【主人公の顔を覗き込むので距離が近くなる】


「……瞳孔が開いて、顔色も落ち着いてきましたね。お加減はいかがですか?」


「良かったぁ……!」






【ここで顔を上げるので距離が初期状態に戻る】


「改めまして。お初にお目にかかります、勇者様。わたくしはエイエス・エムアールと申します。この教会で聖女の大役を務めさせていただいております」


「どうぞお気軽に、エスとお呼び付けください」


「はい。勇者様です。そうです、貴方様が勇者様であらせられます」


「三年前に神託がありました。今日この日に、魔王を倒す聖なる力を持つ者が異界より現れ、フォーリーを救うだろうと」


「あの日からずっと、わたくしは貴方様をお支えするため、研鑽に励んでおりました」


「勇者様にお会いできて、とても嬉しいです」






【主人公が気恥ずかしさから体を起こすので、距離が少し遠くなる。位置は正面(向き合う形)のまま】


「わっ、急に体を起こしてはいけませんよ!」


「……もしかして、お嫌でしたか? そうですよね。急に『魔王を倒して欲しい』などと言われても、困りますよね」


「えっ、体を離したのは恥ずかしかっただけ……? わたくしの顔が近くてドキドキしたから……? あっ、うぅ……」


「そんな、勿体ないお言葉です。勇者様のように凛々しいお人なら、もっと素敵な女性とのお付き合いもあったでしょう?」


「私が初めて……? そうだったのですね。畏れ多いといいますか、光栄といいますか」


「ですから、その……勇者様の初めてになれて、わたくしも嬉しく存じます」



「ああっ! もう死んでもいいだなんて、縁起でもないこと言わないでくださいっ!」


「どうしました? 頭が痛むのですか?」


「死の記憶……?」


「……なるほど。元いた世界で、勇者様は人を助けて亡くなられたのですね」


「『とらっく』なる荷車は存じ上げませんが、衝突すれば人を死に至らしめる荷車と相対あいたいすることは、さぞ恐ろしかったでしょう」



【ヒロインが主人公の手を握るため、距離が近くなる】


「やはり勇者様は、勇敢で優しい御心みこころの持ち主ですね」


「どうかそのお力を、フォーリーのためにお貸しいただけませんでしょうか?」


「良かった……ありがとうございます!」






【立ち上がり、教会の出口まで歩く。距離は中、位置斜め左前~正面】


「もうすぐお城からの使いが見えるでしょうから、彼らに着いて、国王との面会をしてください」


「あっ、襟が少し乱れております。じっとしていてくださいね……」


「これを、こうして……はい、さらに男前になられましたね!」


「ああ、いけない。もう一つ大切なことを忘れるところでした」



【正面から、キスをするくらいの距離で吐息。やや有声】


「ふぅー」


「今のは『ゴッドブレス』です。勇者様に御加護がありますようにという、光の魔法なんですよ」


「それでは、行ってらっしゃいませ。ご武運をお祈りしております」


「わたくしはいつでも、ここでお待ちしておりますので」


(SE:扉の開く音)

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