アニメみたいな恋がしたい!!!

@ricene

第1話


「うわ、まじかここがくっつくのか」



俺はラブコメを見ていた。


そこには羨ましい気持ちと俺にはこんな恋愛なんて無理だなという後ろめたさがあった。

とは思いつつも「俺にもできるんじゃないか」という淡い期待を抱いていた。


近江大地は中学を卒業して高校にあがるまでの春休みを堪能していた。


なにか特徴があるわけではなく、今まで普通の人生を過ごしてきた。


強いて言うのなら少しばかり頭が良くて足が速いということだろうか。


「明日は始業式か、少し早いけど寝るか」




風呂も入ったし、歯磨きもした。後は寝るだけだ。


時刻は22時をまわったところだ。


いつもなら深夜に寝るか、オールして朝を迎えるかの2択だった。


そんな生活をしているせいか、親にバレて何回も怒られたことがある。


怒られても懲りないのが大地の悪いところである。


そんなこんなで、大地は期待と不安を抱えながらベッドに入る。




――――――――――――――――――――――――――――――――




小鳥の鳴く声が聞こえる。


日差しが眩しい。口の中が気持ち悪い。


大地が起きた時の時刻は6時。晴天の朝を迎えた。


アラームが鳴る前に起きるのは何日ぶりだろうか。


いよいよ高校生になるんだという楽しみで、大地は意気揚々としてリビングに向かう。


「晴れて良かったな」


歯磨きをして、朝食を食べ、着替えをし、いつもの朝のルーティンをこなす。


高校から家までの距離は自転車を使って約25分。


大地の自転車は少し小さいが、乗れないことはない。


座っていたソファから立ち上がり、玄関に向かう。


「行くか」


玄関で靴を履く。高校合格と同時に新しく買った靴だ。


俺なりに良い靴を買ったと思う。


紐を結んで、お母さんに「いってきます」と一言告げる。


スタンドを上げ、自転車に乗り、高校までの道を行く。



いつもは通らない道。だが、ここが通学路になるのだ。


中学に行くのとはまた別の景色。


一漕ぎ一漕ぎ噛み締めて、道を進む。



しばらくすると、高校が見えてきた。



「ここか」



高校見学で来たことはあるが改めて生徒として門をくぐると、また違う感情が湧き出る。


自転車置き場に行き、校舎のほうに向かう。


俺と同じ一年がざわざわとしている。



それから数分後、クラス名簿が張り出される。



「2組...か」



2組というクラスには何も思わない。


「全校集会で帰るときに、早く教室に戻れるかな」と思ったくらいだ。


階段を上がって教室に向かう。


ドキドキと胸の鼓動がどんどんと早まっているようにに感じる。


緊張するのは久しぶりだ。




教室の扉の前に立ち、すっと扉を開ける。


人数は少ないが、人はいる。


黒板にある席を確認する。窓側の一番後ろだった。



(お、主人公席じゃん。ラッキー)



何か起こりそうな予感がした。あくまで予感だが。



(これ隣に超絶美少女が座ってるパターンか!)



期待を胸に隣の席を見る。が、まだ誰も座っていなかった。


席に座ると、石化したようにがちがちになっていた。


隣に誰が座るんだろう。友達出来るかな。高校生活うまくやっていけるかな。


いろいな考えが大地の頭の中を巡っていた。


そんなことを考えていたその時


「ここの席か」


と声が聞こえた。

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