ラノベの書き方(順番編)

 デビュー当時は知らなかったのですが、幸運にも一からシリーズの立ち上げを体験出来たのでざっくりと。


0.編集さんと話す

 これがまず第一! 

 とにかく、自分から「新作書きたいんですよね」と伝えないと話が進みません。そして伝えさえすれば、状況は変化します。

 時折、「人間関係の構築が苦手で作家になりたい」という話を耳にしますが……デビューすれば、必然的に担当編集さんとコミュニケーションを取らないといけないわけで、その思考をまず捨てた方が良いかと思います。

 使い古された感のある、ホウ・レン・ソウ、は未だ絶対です。しないと、自分が単に損をします(※余談ですが、世間に流布する『編集が云々』的な話は、双方の行き違いが過半を占めているのではないかと、勝手に思っています)


1.新作案を提出する

 ざっくりとで大丈夫です。

 例えば、ダークファンタジー(悲恋物)+もう少し情報、程度で◎

 自分が書きたい内容を数作提示して、編集さんと相談します。


2.プロットを書きます

 1で決まった作品の骨格を決めます。

 僕の場合は、プロローグ+1~4章+エピローグです。

 ※実際に書いてみると、変わる場合も多々ありますが、そこは面白さ重視。

 ※おそらく、編集さんによってはここでリテイクがあるのかも。


3.編集さんが会議に持ち込みます

 新作を出す権利を得る為にはここを越えないといけません。

 各レーベルの編集さんは、常に「これならいける!」と思って作品を刊行しているので、結構シビアかと思われます。

 少なくとも、納得させられる面白さ+特色、を示さないと厳しいんじゃないかと。


3,5.資料を揃えます

 自前の知識でどうにもならなかった場合は、専門資料を揃え、知識を貯め込みます。僕の場合は、趣味=読書、という無趣味の典型例なので、日常の一頁です。

 余談ですが……基本何でも手に入る、現在日本にあっても、専門書というのは高い+翻訳されていない+そもそも専門家が殆どいない、ケースが散見されるので注意が必要です。技術史は沼。


4.初稿を書きます

 大体、この時点で「何時出しましょう?」的な話も、ふんわりと決定しています。

 経験則だと、一年半前とか?

 ただ、これは作家様が抱えている仕事量によってもまちまちなんじゃないかと。

 僕の場合は、デビュー以来、2シリーズ並行=年六冊刊行、だったので相当先に置かれたんだと思います(※刊行作品と発売月を合わせるか、合わせないか、問題もある)。

 なお、初稿自体の書き上げ(11~12万字+)は最近だと約2週間位です。健康状態に大きく左右されます。ずっと書き続ける上で最重要なのは健康。


5.改稿をします

 編集さんに初稿を読んでもらい、指摘を受けたら、改稿します。

 それはもう容赦なく。

 僕の場合は、初稿→改稿で半分位赤字走らせるのはざらですし、また頁自体も50~100頁没にもします。

 初稿に比べれば、この作業はそこまで難しくありません。編集の指摘は大概真っ当なものですし、どうしても変えたくない箇所は説明をします。


6.三稿・四校を走らせます

 この段階で内容的にはほぼ固まっています。

 ただ、人間不思議なもので、直前で良いシーンを思いついたり「……はっ!」と、すっかり忘れていた設定を思い出し、蒼褪めたりします。

 なので、僕はギリギリまで粘ります。


7.イラスト・サブタイトルを決めます

 原稿を一先ず送り出したら、楽しい時間(※短い)の始まりです。

 編集さんがカバー・口絵・挿絵、何処を取るのか聞いてくるので、考えましょう。サブタイトルがある場合はそちらが先となります(先に刊行情報が出る為)。

 原稿を書いている段階で、どのキャラを書いていただきたいかはほぼ決まっていると思うので、然程は悩みません。誰を削るかで懊悩しますが。

※「公女」で、各ヒロインの服装が最低でも3着以上存在する、という状態は、ラノベ業界でも異例中の異例なので、他タイトルも同じと考えてはいけません。cura先生が凄すぎるだけです。


8.校正

 僕がデビューした当時(2018年)は、ほぼ紙だったと思います。

 昨今では、PDFへの赤字入れに切り替わりつつあります。

 ……僕は未だに紙で送ってもらっていますが。PC上だと目が滑るんですよね。

 ただ、これも何れはweb上で完結させる方向にいくのだと思います。時代の流れですね。

 校正時に赤ペンを走らせ過ぎるのはNGなので、程々にしておきましょう。


9.発売日!

 本が書店に並びます。これって、冷静に考えると相当凄いことなので、この日ばかりは自分を褒め称えましょう。頑張ったっ!

 紙と電子の関係性ですが、六年前よりは比率に変化があります。ただし、ラノベに関して言えば電子を紙が上回っているわけではないので、皆様の一部一部が作品の寿命を左右します。いや、本当に。


10.次巻へと

 首尾よく、初巻の売上が良ければ2巻へと進めます(※重版が大変望ましい)。

 ただ、僕がデビューした時よりも戦死率は格段に上がっております。これをラノベ市場の衰退、と見るのは簡単なんですが……実際には「ん~?」という感触です。


 まぁ、そこら辺もちらっと書ければ、と思います。短い期間ですが、お付き合いください。……次の原稿やらが来るまで。

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