嫌がらせ 6-4
転校してきて少し時間が経ち、クラスにも馴染み友達も出来ただろう。
家で食事する際淡々と話している様に見えるが、声のトーンも最初に比べて柔らかく、優しくなり笑顔も見せるようになっていた。
それがここ数日、本人は気にした様子も相談も特にしていないようだが、表情に陰りが見え笑顔もないように思える。
これは一緒に住み同じ時間を過ごしているから気づけたことかもしれない。
実際に見たわけじゃないけど部屋を通る際聞こえた鼻をすする音、涙ぐむ声。
頼まれた訳じゃなくただのお節介かもしれないが、気づいておきながら放っておくことは俺にはできない。
文句なら後で聞けばいい。
その涙を笑顔に変えれるなら。
教室では大原3人衆が橘凜をみてヒソヒソ話しながらこちらを見ている中、なにか解決出来る策がないか思案する。
クラスメイトに相談。
いや、この件は教室の空気で察している。が、相手が大原さんだからか、誰もなにもしようとしない。
またはできない、誰かがなんとかする、手を貸せば今度は自分が狙われるんじゃないか。
そんな空気が流れている。
橘凜は事を大事(おおごと)にしたくないのか沈黙を貫いている。
ときより心配そうにこちらに視線を向けるクラスメイト達。
しかし行動には移そうとしない。
動けば自分の立場が危ぶまれるから。
今、橘凜はクラスから孤立している状態。
手を差し伸べれば助けになるかもしれないが今度は自分が孤立してしまう。
そんな危機感から気にはしているが誰も動かない。
そこまで思案してあることに気づく。
孤立したくない。
皆コミュニティを持ちその中で自分の立ち位置を確立している。
なら。
はじめからどこにも属さず失う物も無い。
ただ学校に来て机に突っ伏し誰とも関わろうとしない学校生活を送っている人物が、1人いることに気づく。
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