第15話 布教したい
ゾルダの伝説の配信を無事に終えた俺は、2日後次の配信に向けてλのアンケート結果を確認していた。結果は予想以上に興味深いものだった。
1位:ソロキャンプ配信
2位:ゲーム配信
3位:学校配信
視聴者がソロキャンプ配信を推してくれたのは、どうやら俺が以前、キャンプについて熱く語っていたことが理由らしい。その時の俺のテンションが伝わって、組織票まで入れてくれたとか。コメント欄にはこんな意見もあった。
「ゼロ様が自然と触れ合っている姿が見たい!」
「キャンプでの配信、絶対楽しそう!」
一方で、学校配信が最下位になった理由も興味深い。
「他の女と同じ空間にいるゼロ様なんて見たくない!」
そんなコメントに同調する視聴者が多かったのか、学校配信の割合は大きく下がっていた。視聴者の熱量がすごいな、と苦笑しながらも、俺自身ソロキャンプ配信には興味があった。
「決まりだな、次はソロキャンプ配信だ。」
ただ、問題が一つあった。
キャンプ道具がない転生後の現実
俺にはキャンプの知識はあっても、道具が一切ない。転生してからこの世界で配信に必要最低限の物しか揃えていないし、キャンプグッズなんて一切持っていないのだ。だが、それで諦めるわけにはいかない。視聴者との約束を守るため(自分がキャンプの布教をしたいだけ)、まずは道具を揃えるところから始める必要があった。
「よし、キャンプ用品を探そう。」
セーヌを開いてショッピングをする。
Amazonではなくおそらくセーヌ川から名前を取ったんだろう。物流だったらライン川の方が少しあってる気もするけど。
もとの世界のような高性能なキャンプ用品は売っていなかった。キャンプブームがないからね。しょうがないね。
テントや寝袋、椅子に相当するものは普通の布や木材で作られた簡易的な物ばかりで、装備を整えるには工夫かお金が必要だ。
「なるほど、ここでは自分で工夫してやるしかないってことか。」
手頃な布地、ロープ、調理用の鍋、そしてファイヤースターターを購入した。それから、かなり値は貼ったがしっかりと素材が加工されているテントを買った。
キャンプ用品を揃え終えた俺は、早速配信の告知をλに投稿した。
「次回はソロキャンプ配信!皆さんにキャンプを流行らせます。」
すぐに視聴者からの反応が返ってきた。
▷「ついに来たー!ゼロ様のキャンプ配信!」
▷「道具とかもう揃えてるんですか?」
▷「ゼロ様ならどんな状況でも最高のキャンプを見せてくれるはず!」
コメントの一つ一つが俺の背中を押してくれる。期待に応えたいという気持ちがさらに強くなった。
「みんなの期待を裏切らない配信にするぞ。」
翌日、配信場所を決めるため、街から少し離れた自然豊かなエリアを探索することにした。適度に木陰があり、小川が流れる場所を発見。これなら水の確保も問題ないし、視聴者にも映像的に満足してもらえるだろう。
「ここで決まりだな。」
ただ、思っていたより違う展開になってしまった。
忘れていた。この世界で男は珍しい存在なので外出する時には護衛が必要なんだッ…
母さんがウチでいままで雇ってるらしい人に連絡をして今回の外出用事を伝えて読んでくれたらしい。
なので、配信の場所探しでも車を運転してもらい食料に至っては欲しいものを伝えスーパーに行き買ってきてもらった。
これでソロキャンプ配信と言えるのだろうか。ちなみに今は設置したカメラの後ろに立ちこちらをずっと見つめている。
カメラの正面に買ったばかりのキャンプ道具と食料を置き少し落ち着いた気分になった。
準備を整えた俺は、ついに配信をスタートさせた。午後2時、陽が差し込む自然の中で、視聴者たちとの新しい冒険が始まる。
「みなさん、こんにちは!ゼロです。今日はお待ちかねのソロキャンプ配信、始めていきます!」
コメント欄が瞬く間に埋まっていく。
▷「待ってました!」
▷「ゼロ様、キャンプ姿めっちゃカッコいい!」
▷「初めてのキャンプ配信楽しみすぎる!」
「まずは、テントを設営します。これが本日の主役、ポール型テントです。初めてキャンプする方にもおすすめのシンプルなタイプですね。」
購入したテントの布を広げ、地面に置く。布に付いている穴を確認しながら、ペグを地面に打ち込んでいく。画面にはその手元作業が映し出される。
「ペグはしっかり地面に打ち込むのがコツです。特に風が強い日は抜けないように固定するのが重要ですね。」
地面に刺さったペグを確認し、次はポールを組み立ててテントの形を作っていく。視聴者からの質問が次々と飛んでくる。
▷「ペグってどうやって打つんですか?」
▷「一人でやるのって難しそう……」
▷「風が強かったらどうするんですか?」
▷「汗えっどい」
「ペグは地面に対して斜めに打ち込むと抜けにくいです。風が強い場合は、ロープを追加して補強する方法もありますね。」
配信のテンポを意識しながらも、実際のキャンプ技術について丁寧に説明を加える。約20分ほどでテントが完成。カメラに向かってその全貌を映し出す。
「どうですか? 完成しました! このテントが今日の俺のベースキャンプになります。設営に20分かかりましたが、初めての方でも慣れればこれくらいでできるようになりますよ。」
コメント欄が歓声で埋まる。
▷「おおー、すごい!」
▷「ゼロ様、手際が良すぎ!」
▷「なんか見てるだけで楽しい!」
▷「キャンプは虫とかで嫌だったけど楽しそうに見えてきた」
「それじゃあ、荷物を中に移動させて、次は焚き火を準備します。」
荷物をテントの中に運び終えた俺は、焚き火の場所を決める。地面を軽く掘り、周囲に石を並べて簡易的な囲いを作る。そして、用意した薪を適度な大きさに割りながら並べていく。
「焚き火をする際は、安全のために周囲に石を置いておくのがポイントです。火が広がらないようにするためですね。」
薪の上に着火剤を置き、ライターで火をつける。火が徐々に広がり、薪が燃え始めると、カメラの画面に揺れる炎の映像が映し出される。
「火が付くとなんだか安心しますよね。この焚き火が今日の夜を支えてくれるわけです。」
▷「焚き火っていいな~。」
▷「火をつけるのって簡単ですか?」
▷「ゼロ様がやると全部おしゃれに見える!」
「慣れると簡単です。着火剤を使えば初心者の方でも安心ですよ。でも、火の扱いはいつでも慎重に!」
椅子を取り出して焚き火の前に設置し、その上に腰を下ろす。ここからしばらく、焚き火を眺めながらリラックスする時間に入る。
「こうやってゆっくりするのがキャンプの醍醐味なんです。何も考えず、ただ火を見つめているだけで心が落ち着きますよ。」
視聴者もこの時間を楽しんでいる様子だ。コメントには「癒される」という声が多く並んでいた。
時間が経ち、周囲が薄暗くなり始めた頃、夕飯の準備を始める。
「さて、そろそろ夕飯を作っていきましょう。今日のメニューは、ボンゴレビアンコとエビとマッシュルームのアヒージョです。」
まずはボンゴレビアンコの材料を取り出し、小さな鍋でパスタを茹で始める。同時に、フライパンでオリーブオイルを温め、アサリを加える。視聴者は料理の様子に大興奮だ。
▷「ゼロ様、料理もできるの!?」
▷「なんておしゃれなメニュー!」
▷「私も食べたい……!」
▷「私の専業主夫になって子作りしよう」
「キャンプでもちょっと手の込んだ料理をすると、それだけで贅沢な気分になれますよ。」
次にアヒージョを作るため、別のフライパンでエビとマッシュルームを調理する。オリーブオイルの香りが漂い始め、画面越しにもその美味しさが伝わりそうな映像が広がる。
「こうやって焚き火を囲みながら食べる料理が最高なんです。」
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