小さな犬の大きな愛

神和(しんわ)

第1話 新しい家族のはじまり

 ある春の日、町の外れにある小さな家に住む母と娘がいました。母の名前は美咲、娘の名前はさくらといいます。さくらは小学二年生で、いつも笑顔を絶やさない元気な女の子でした。


美咲は一人でさくらを育てていました。夫を亡くしてからというもの、さくらと二人で毎日を過ごしていましたが、美咲はふとした時に、さくらが寂しそうにしていることに気づくことがありました。


さくらが友達と遊んでいるときは元気いっぱいなのに、家に帰ると急にしんみりしてしまう。そんな時、美咲は胸が痛くなるのです。


「もっとさくらに笑顔を届けたい…」そう思った美咲は、ある日、近くの保護犬の施設を訪れました。そこで出会ったのが、ちょっとやんちゃで元気いっぱいの子犬でした。


白くてふわふわの毛が、まるで綿菓子のような子犬。その子犬を見た瞬間、美咲はこれだ、と思いました。


「この子がさくらの友達になってくれるかもしれない。」そう感じた美咲は、さくらの喜ぶ顔を思い浮かべながら、子犬を家に連れて帰ることにしました。


その夜、美咲はさくらの手を引いてリビングへと向かいました。そこで、ふわふわの白い子犬がちょこんと座っていました。子犬は小さな耳をぴょこんと動かし、さくらを見上げました。


「この子、うちの家族になるんだよ。名前はさくらが決めていいよ。」美咲がそう言うと、さくらの顔がぱっと明るくなり、目を輝かせました。


「この子、名前は『ユキ』にする!」さくらは元気よく言いました。子犬の白い毛が、ちょうど雪のように真っ白だったからです。


こうして、美咲、さくら、そしてユキの三人家族は、温かい日々を一緒に過ごし始めることになりました。

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