僕らはみんな違う世界で生きているんだ
やすはる
平等
この世は平等である。偉い人は皆そう言うが本当にそうだろうか…。人間が平等なのは人類が生まれた何十万年前だけだと思う。それから次の世代、次の世代というと強さ、だとかで決まる。今の時代は地位や金で決まる。こんな世の中を平等だと思うだろうか。
それ故
ぼくらはみんな違う世界で生きている
地球は10年前、人類が住めなくなった。当時は6歳でそんなことしか考えていなかった。
俺は今ロウタウンと言う所に住んでいる。地球が住めなくなっていろんな国がいろんな星へ行って、いろんな場所で住んでいるが、ここは特に貧しくて、治安も悪い。日本は先進国が故に良い星に住んでいるというらしいが、ここはまさに地獄。
俺は妹と二人で暮らしている。
父と母は俺たちをおいてって上の方へ行った。
俺達にご飯を食わせるのがもったいなかったらしい
憎いとかいう気持ちは一切ない。今はそんな次元ではないからだ
「りか、ご飯取ってきたぞ」
「ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんはいつも食べてないけど大丈夫なの?」
「お兄ちゃんはあっちで食べているから大丈夫だよ、全部お食べ」
俺は嘘をついている。ご飯なんて何日も食っていない。俺たちロウタウンに住んでいる子どもなんかは一言で言うと残飯係だ。
少し上に行くといえばいいのか、少しと言えど片道1時間はかかるがそこに行けば裕福な人が住んでいる層がある。俺たちはそこをハイタウンと言っている。そこへ行ってゴミの山からご飯を取ってくるのだ。
「優ちゃん最近いっそに痩せたわよ。ちゃんと食べなきゃ、ほらこれ持ってきたわよ」
このおばあちゃんはたまに僕達が住んでいる所によってきてご飯を差し出してくれる。ものすごくありがたい。
「いつもありがとうございます」
「いいのよ。子どもが遠慮することはないわ。私のことは母と思って気軽に接してちょうだい」
今この世の中で人にご飯をもらえることのありがたみは計り知れない。
「大変ねー…こんな所に子ども2人で、辛いでしょう…最近は人身売買を生業にしている人がこの街から子どもをさらうという事件があったから気よつけてね」
「ありがとうございます。色々と心配してくれて」
人身売買か…俺たちも気よつけないと
子どもなんか簡単に連れ去られるから
「お兄ちゃん…この人は?」
「りか、この人はいつもご飯をくれる人なんだよ」
「そうなのーありがとう」
「いいんだよ全然、この子が妹…ふ〜ん」
「どうかしましたか、妹の顔見て」
「いやなんでもないわよ。それでたくさん食べてね」
これで2日は持つな。俺も久しぶりにご飯が食べられるかもしれない。本当に感謝しかない。そういえばこのおばさんロウタウンに住んでいる割にはそんなに痩せてないんだよなどこに住んでいるのだろうか
「おい!」
「ん?」
「あんたあんまりちょっかいかけてくんなよ!こっちはこっちで勝手に生きてんだ。よそ者が勝手に手出してくんなよ」
僕達の向かい側に住んでいる山田さんだ。僕は山田さんが少々苦手だ。口が悪い所とか、顔が怖い所とか。
「何なのよもー…ごめんねーここで失礼するわ。変なのに睨まれたようだし、じゃあまたね」
「ふん!」
二人が睨み合った。やっぱりおばちゃんに言いすぎな所がある。おばちゃんは力強く地面を踏んで、帰っていって、山田さんはネタネタしながら戻っていった
〜〜〜〜〜〜〜〜
今日もいつもどうりハイタウンに行ってご飯を集めていた
「この街にお前みたいな汚ねぇガキは来んな。こっちも汚くなる」
「見ろよあれゴミが歩いてるぞ、恥ずかしくないのかなー」
「お母さんなにあれー」
「あんまり見るもんではありません。あれはあんたと違って人間ではないんだから」
これが日常だ。ハイタウンを歩くとゴミ人間どころか人間扱いされずゴミ扱いされる。殴られるのは当たり前悪い日だと子どもに集団リンチにされることだってある。もう慣れたものだ。怒りとかではなくこれが当たり前だと思ってしまえばなんにも痛くも痒くもない。たまに面白がった人たちがご飯を投げて嘲笑ってくる人もいるが、その人達は当たり、殴る人をハズレと認識している。今日に当たりはいなかった。
いつもどうり行きつけの家に行って家の裏についているゴミ置き場を漁っていた
「な!これは塩か!当たりだな今日は」
黄ばんだ袋に入っていたのはまさに塩だった。
この世界塩は貴重だ。この家はハイタウンの中でも上の方の家だからこれがあったのかもしれない
入っていた塩は腐っているのか、少し黒かったが舐めてみれば塩だった。
塩というのはロウタウンの上の家にかなり高く売れる。ロウタウンの上にいる家は大体はハイタウンに住んでいた人たちが家から追い出された人たちばかりだ。よしこれでお金が貯まってりかに美味しいご飯が渡せる
そのままロウタウンに戻って戻って水浴びをしてから、売りに行く予定だった。りかには秘密にしておいた。急にお金を見せて驚く顔が楽しみだ。
ロウタウンはハイタウンの隣り合わせにあるがロウタウンにも上、中、下がある僕達が住んでいるところは下だが今から行くところは上でありハイタウンと隣接したところであった。でも僕は忘れていた。
行く途中に中があったということを…
ぼくはるんるんで上へ向かっていた。中に入り上との境目に来たら辺のところで事件は起こった
「おい!そこのお前、その大事そうに持っているその袋を俺たちに渡しな」
そこにいたのは筋肉質な同い年ぐらいの少年と後ろには10人くらいの少年たちがいた。
僕の顔は真っ青になった。忘れていたんだ。
下は食うのが必至で食うことすらがきつい所だとすると今いる中というのはお腹は空いているが食うのに困っていない人たちの集まりだ。
中に住む人達はそのお腹を満腹にしようと、盗みを働く。つまりロウタウンて一番治安が悪い場所だ。普段は遠回りをして通っていたが、お金欲しさに真っ直ぐに進んでいた。
「こ、この袋には大したものなど何も入っていない」
「そうかよ。こんなに大事にその袋を抱きしめて
その袋はお前の恋人かなんかなのか」
気づいたら後ろに少年2人が立っていて僕の体を押さえていた。その隙にリーダーっぽい人が袋を取り中身を見た
「おい!みんな見ろよ。塩が入っているぞ。少し腐っているが全然いけるぞこれ。儲かるぞこれは」
「やめろ!それはオレが取って来た者だ。返せ、返せ」
「へへ。取ってきたんじゃなくて奪ってきたんだろ。こんな高価なものお前みたいな汚ねぇやつが持ってるはずもないもんな。この塩は俺たちが使ってやる。有意義にな!感謝しろ」
今すぐに塩を取り返したい所だが、後ろの2人が体を離さない。
「じゃあ、またな。負け組ちゃん」
言葉を残して去っていった。僕を押さえている2人はニヤケずらで僕に蹴ってから去っていった。
〜〜〜〜〜〜〜
翌日もう一回塩がないか確認したが、当然塩なんかが出るわけでもなく、何も収穫がなかった。
挙句の果てにはその家のメイドに漁っているところを目撃されてしまいほうきで叩かれて逃げていくようにロウタウンへ戻って行った。
翌日、その翌日と僕は何もできなかった。
何もかもが奪われそうで怖かったからだ。
そんな時に来たんだ
「ごめんねぇ来れなくて。最近忙しくて。ご飯持ってきたから」
大きなバッグを持っておばあちゃんが訪れてきてくれた。
「すみません、ありがとうございます」
「いいのよ全然、ちょっといもうとさんみせてくれない?」
「いいですよ、りかー」
僕は何も考えていなかった。未熟だった
「どうしたのーあ、おばあちゃん来てたんだー。ご飯ありがとー」
「ごめんねぇ、本当に。でも仕事だから。悲しいわ。本当に」
その直前おばあちゃんはおばあちゃんでなくなった。その顔をいつものおばあちゃんと言えるのだろうか
一瞬だった。おばあちゃんが目の前にいる僕に袋から出したナイフで僕の太ももを刺したのだ。
「いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「キャァァァァァ」
なんだ僕の足が熱い、痛い何が起きて…
「欲しいのは妹で兄はいらないのよ。だから邪魔なのよ………消えてくれない?」
なんで、なんで!ぼくは、ぼくは!りかまでも奪われなければいけないのか。僕はなんて兄なんだ。
あの時だって
僕のせいで
あぁ僕なんて死んでしまえば良いんだ。生まれて来なければいいんだ。早く僕を…
またも一瞬だった僕が倒れて、目の前で僕を刺そうとしているおばあちゃんが後ろから刺された。
そのまま倒れてしまった。
後ろに居たのは山田さんだった。
「おい、大丈夫か」
「なんで、なんで止めたんだ。あとちょっとで!この世に平等なんて言葉はないんだ…」
山田さんは僕の頬をいきなり叩いてきた。
「しょうもない。平等ってのは平等から不平等と平等が別れて、それからも二択に分かれるのが無限にに続く。そんなのを平等とは言わないんだ。お前は妹を置いて死のうとしていたのか?この世ってのはみんな違う。あとアは似たようで全く違う。お前だって、妹だって」
僕はなんて変なことを…りかを置いてこの世を去るわけ無いだろう、ちょっと考えたら分かることだ
でもこの世はみんな違うか…
僕達は皆違う世界で生きているんだな
山田さんとは一言も喋らなかった。だけど僕の顔を見直したらニヤッとして足の怪我に包帯を巻いてくれた。
「ちょっと来い」
連れられたのはロウタウンの上の端の方
鉄の倉庫みたいな所に連れられた
「ここは…?」
「ようこそ反政府組織レイダスヘ」
僕らはみんな違う世界で生きているんだ やすはる @yasuharu1008
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます