ヨルニキク

ヒル

第1話 人形

 私が小学1年の頃、肌身離さず持っていた人形がありました。とても可愛く、いつも遊んでいました。でもおかしな点がありました。それは、髪が少し短くなってたり、また伸びていたり、化粧をしたような顔になっているのです。古くなっていくのでなく、新しく変わっていくような感じでした。少し私は怖くなり、その人形をタンスの奥底にしまい遊ぶのをやめました。


 それも忘れ、私は中学三年になりました。ある日の夜、夜中にトイレに行きたくなり、家族も寝ているだろうと思い静かにトイレに向かっていたところ、居間の電気が付いていました。

誰かいるのかと居間の方にソッと静かに向かうと、声が聞こえました。「またかわ、、なったね」それは紛れもない母の声でした。もう少し近づき、ゆっくりと覗いてみると、そこにはあの人形とまるでその人形を赤ちゃんを癒すかのように抱えた母がいました。周りには化粧道具やカツラが置いてあり、その人形はあの時よりも美しく可愛く人間の女の子のようになっていました。そして母が言ったのです。

「あの子より、可愛くなったね」

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