ふたりの苗字

｢ところで、葉月さん｣

｢なあに？白熊さん｣


｢あの...さっそく、ひとつ質問なんですけど...｣

｢どうぞ...｣


｢葉月っていうのは、苗字ってことでいいんですよね？｣

｢えっと...苗字だよ～｣


｢苗字の葉月と...メモメモ｣

｢メモってる？｣


｢そして、その葉月っていうのは、どういう意味なの？...｣

｢知らな～い｣


｢あ、知らないと...｣

｢何をメモしてるの～？｣


｢いや、いろいろ勉強です。こちらの世界...いえ、こちらの場所の...｣

｢そう言う白熊さんは、しらくま？それとも、しろくま？｣


｢まあ、そこは、どちらでも...｣

｢どっちでもいいのー？｣


｢どちらでも好きに呼んでもらえれば、それでよいかと...｣

｢いやいや...よくないでしょー｣


｢どうして？｣

｢だって苗字なんだから...どっちか、はっきりしてるもんでしょ～｣


｢そうですか？｣

｢そうだよ～｣


｢じゃあ、しらくまで...｣

｢しらくまさんなんだね～？｣


｢そうしましょう...｣

｢こらー！なんで、今、決めたみたいになってるのよ～？｣


｢そうでしょうか...｣

｢何、言ってるのよー...しかも、かたいのよー｣


｢は？かたいっていうのは？｣

｢しゃべり方よっ｣


｢しゃべり方？｣

｢友達みたいなしゃべり方すれば、いいのっ｣


｢しゃべり方...かたい...友達みたいなしゃべり方する｣

｢また、なにメモしてるのよー？｣


｢こちらに来て、いろいろ勉強...｣

｢メモとるほどのことかっ...笑...｣


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