おばけの話

空空

生前1

◆◇◇

 ハッピーエンドで終わる話が好きだった。

 現実の人生は死亡バッドエンドでしか終わらないから、いつまでも幸せに暮らしましたという、めでたしめでたしを求め続けていた。

 幸せになると、いつまで続くんだろうと悩む。悩んだ末に、どうせ死んじゃうのになって笑いたくなる。

 ずっとは笑っていられないから、また悩む。おしまいまで笑っていられたら、めでたしめでたしになるのかな。

 日が落ちたワンルームに電気を灯す気力もない。開いたカーテンは中途半端な闇を半笑いで黙認している。

 おしまいまで生きるのが人生なのに、終わることしか考えていられないなら、いよいよ意味なんて。

 まぶたを閉じる。やめよう、やめよう。

 結論を出したらいけないよ。今日はもう眠らなきゃ。

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