第5話 星に願いを

夜が更ける中、劣悪な環境で過ごすエミリアたちの小屋の中では、重い沈黙が漂っていた。



エミリアは疲れた体を横たえ、目を閉じていたが、隣で小さなすすり泣きが聞こえた。


「ミア?」エミリアはそっと呼びかけた。


ミアは涙を拭いながらエミリアの方を向いた。

「エミリアお姉さん…私、死にたくないよ…怖いよ…」


この過酷な労働環境と衛生環境な悪さから

ここ数日、ミアの体の調子は良くなかった。


他の仲間達も病で失くなっていく一方であった。


もうミアはこの夜を越えられることはない。



そう思うとエミリアは胸が痛むのを感じながら、ミアの手を握りしめた。


「大丈夫、ミア。私はここにいるから。」


ミアはエミリアの手を握り返しながら、泣き続けた。


「でも、みんな次々といなくなっちゃう…私も、きっと同じになるんだ…」


エミリアは深く息を吸い込み、ミアの目を見つめた。

「ミア、夜空を見てごらん。」


ミアは涙に滲む目で、窓の外の夜空を見上げた。そこには無数の星がきらめいていた。


「星たちはずっと輝き続けているよね。どんなに暗い夜でも、星は消えることなく、私たちを見守ってくれている。」

エミリアは優しく語りかけた。


「ミア、君も星のように輝いているんだ。

君の光は消えることなく、みんなの心の中で

輝き続ける。」



ミアは泣きながらエミリアの言葉を聞いていた。

「本当に、私もそんな風に輝けるの?」


エミリアは力強く頷いた。


「もちろんだよ。君の優しさや勇気は、私たちみんなにとって大切な光なんだ。

それを忘れないで。

たとえ今がどんなに辛くても、君の光は決して消えることはない。」


ミアは少しだけ微笑み、エミリアの言葉に勇気をもらった。

「ありがとう、エミリアお姉さん。私、頑張るよ…星のように輝くために。」



しかし、ミアの体力は限界に達していた。

苦しみながらも、「死にたくない」と繰り返し言いながら、エミリアの手を強く握りしめた。



何かミアの助けになって欲しい。



どうか私の願い叶えて欲しい。



その瞬間、エミリアの権能が発動し、

ミアは次第に暖かな気持ちに包まれていった。


「ミア、星になれるんだよ。君の光は永遠に輝き続けるんだ。」

エミリアは静かに語りかけながら、ミアを優しく見守った。




ミアはその言葉を聞き、次第に穏やかな表情になり、最後にエミリアの温もりを感じながら、静かに息を引き取った。


その夜、エミリアは心の中で、ミアの光がいつまでも輝き続けることを願っていた。



ミアの笑顔と共に、エミリアの心には新たな希望の光が灯った。


彼女はいつか、この過酷な世界を変えることを誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る