第17話 出自

次の日。

「どうしたら愛佳さんを守れるか、か…。」

自室で考え込む珠。

かれこれこうして数時間は経つ。

「……珠、さん…」

「うわっ、ビックリした。どうしたんですか?」

突然現れた愛佳に驚く珠。

「…驚かせてしまって…すみません…。ちゃんとノックしましたよ…。」

「すみません、気付かなかったです…」

どうやら愛佳は珠にかなり懐いているらしい。

ひょい、と顔を覗き込む愛佳。

それに苦笑いをする珠。

沈黙が続く。

「……珠さん、は…いつまでこの組織にいるつもり…ですか…?」

「一応夏休みの間だけってことになってます。」

「…そう…ですか…。」

その時、コンコン、とノックの音が聞こえてきた。

「どうぞ」

「お邪魔しまーす!珠ちゃん、愛佳ちゃん、元気にしてる?」

海が部屋に入ってきた。

「海さん。どうしたんですか?」

「ちょっと気になったことがあってね。九十九って姓で思い出したんだけど、九十九十六夜と因幡…九十九来未って知ってる?」

「はい。私の両親です。」

「うわ〜、やっぱり!似てると思ったんだ!あの2人、元この組織出身なんだよ。この組織にはいる時、快諾してくれなかった?」

「はい、アッサリ快諾してくれました」

「それはこの組織を信頼してくれてるからだよ。いやぁ、心のモヤモヤがとれたよ!」

「ならよかったです」

微笑む珠。

んんー、と伸びをする海。

「にしても、かなり懐かれてるね。餌付けでもした?」

「してませんっ」

「あはは、そうだよね!」

ケラケラと笑う海。

ムスッとする珠とピッタリ珠にくっつく愛佳。

「それで、宿題の方は順調かな?」

「いえ…浮かばなくて」

「それほどくっついているなら考える必要ないかもね。危ない時には下がってもらえばいいし。」

宿題を与えておいてこれである。

「よし、珠ちゃんの宿題は無事クリアということで!」

パチパチと拍手をする海。

「あ、ありがとうございます…」

戸惑いながら苦笑いをする珠。

相変わらず珠にピッタリくっつく愛佳。

「それじゃ、私は任務に行ってくるよ。珠ちゃんは休みだよね。愛佳ちゃんの事、頼んだよ!」

「はい!」

こくり、と頷く珠。

それを見届けると海は部屋を後にする。

「お父さんとお母さん、ここの出身だったんだ…だからあんなにアッサリ快諾してくれたんだ…」

「…組織、の信頼…大事…」

「そうですね。よし、頑張って愛佳さんを守ります!」

グッと気合を入れる珠。

その後は特に何も起こらず、夕食と風呂を済ませ眠りにつく珠であった。

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