九十九珠の夏休み

安どぉなつ。

第1話 夏休み

キーンコーンカーンコーン。

6時間目終了のチャイムが鳴り響く。

「さ、皆さん今日から夏休みです!宿題、ちゃんと終わらせてね!」

担任の安城あんじょう三笠みかさがそう訃げる。

生徒達のザワつく声。

そんな中、金髪に髪を2つ結びにした少女、九十九つくも たまは1人席を立つ。

「珠ちゃん、夏休み一緒にプール行かない?」

「んー、いいよ。いつ行く?」

「そうだなー、明後日とかは?」

「うん、いいよ。」

そう言うと、友人の山川やまかわことが楽しそうに帰路に着いた。

「私も帰ろ…」

そう言って教室を出て、帰路に着く珠。

私立興南こうなん中学校に通う珠は、通知表はオール5だった。

友人も多数おり、充実した毎日を送っていた。

「ねむ…」

帰り道、ぽつりと呟く。

その時。

「Guuuu…」

黒いモヤのようなものに包まれた犬のような何かが目の前に現れた。

「…なにあれ」

驚きつつも小石を拾う珠。

「Gaaaa!!」

犬のような何かは珠に襲いかかる。

「邪魔!」

ブン、と小石を投擲する珠。

その速度はなんと第三宇宙速度だ。

「Guaaaa!!」

その一撃で犬のような何かは消え去っていった。

「そこの君、大丈夫だった!?妖に襲われてたけど…」

慌てて白髪の長い髪にスーツを着た女性が珠の元に駆け寄ってきた。

「アタシは今川いまがわかい。祓い屋をしてるの。今みたいな妖を退治する組織に所属してるのよ。あなた、見込みあるわね。ね、良かったらウチの組織に来ない?」

「は、はぁ…。」

若干困惑しつつもどうしようかと考える珠。

「少し時間をください。」

「えぇ、もちろん。はい、アタシの連絡先。」

そう言って海は名刺を差し出す。

「ありがとうございます。ちょっと両親に相談してみます。」

「えぇ、是非そうして頂戴。いい返事、待ってるわね。」

そう言うと海は軽く手を振って去って行った。

「はぁ…とんだ夏休みになりそうだなぁ。」

そう言いながらも自宅に着いた。

「ただいま」

「おう、おかえり、珠。」

母親の青い髪に青い瞳をした九十九 来未くるみはエプロン姿で珠を出迎える。

「珠、帰ってきたか」

「うん、ただいま、お父さん」

金髪にTシャツを着た九十九 十六夜いざよいが珠を出迎える。


夕食の時間、珠は海のことや組織の事を2人に説明する。

「いいんじゃないのか?珠がしたいようにすれば」

来未はそう告げる。

「俺も異論は無いな」

十六夜もそう告げる。

「じゃあ私、その組織に入るよ」

そう告げる。

「あぁ。くれぐれも無茶だけはするなよ」

「うん。」

こくり、と頷くとスマホを取りだし海に連絡をする。

「はい、今川です。」

「あ、今川さん。先程はありがとうございました。九十九珠です」

「あぁ、さっきの!どうだった?」

「許可、出ました。組織に入ります」

「本当!?良かった〜!珠ちゃん、夏休みだよね?」

「はい」

「だったら明日迎えに行くよ。住所、教えてくれる?」

「はい。」

そう言って住所を教える珠。

「ありがと〜!じゃ、明日の10時頃迎えに行くね。住み込みになるから、ご両親に伝えておいて」

「わかりました。では。」

「はいはーい、また明日!」

そう言って電話を切る。

両親に住み込みになることを伝えると、2人は快く快諾してくれた。

珠は自室に戻るとベッドにダイブする。

「なんだか疲れたな…」

お気に入りのぬいぐるみを抱きしめると、ぽつりと呟く。

その後風呂に入り、パジャマに着替えると直ぐに眠気が襲ってきた。

余程疲れたのだろう。

すやすやと寝起きを立てて眠る珠。

波乱の夏休みの始まりだ。

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