男装が似合う彼女と女装が似合う彼氏

普通

学園のアイドルの秘密

今の芸能界で一番輝いているモデルを挙げろと言われれば多くの人はこの二人を挙げるだろう。



一人目は『御子柴みこしば ][[久遠くおん 』。彼女は現高校生のモデルである。だが、現代の女性モデルの中でも異質な存在。驚くほど整った顔立ち、綺麗で長い手だけでもモデルとして必要なものを持っているが、彼女を有名にしたのは男装なのだ。



ある雑誌の企画で女性モデルに男装をさせてみたというものがあった。



そしてその企画で一番光っていたのが御子柴久遠だ。どんな男性の服も着こなしてしまう彼女はまさに女性の中の男性だった。それから彼女の人気はウナギ調子に上がっていき、今では知らない人がいないところまで知名度も上がったのだ。



二人目は『[[土生はぶみ[[江茉えま]]』。彼も現高校生のモデルである。顔立ちは整っていて、身長は170cm程。そしてそんな彼を有名にしたのは御子柴の時と同じで男性モデルに女装をさせてみたという企画。そしてその企画で彼は誰もが度肝を抜かれてしまうほどに女装が似合ってしまったのだ。見た読者の中には『オレが男に目覚めたらどうするんだよ』とか『この子を嫁にくれ』などの意見が寄せられるほど。

そして今では知らない人がいないほどまで知名度が高いのだ。







そしてなんの偶然か、御子柴久遠と土生江茉は同じ高校に通っているのだ。




御子柴久遠はもちろん学園のアイドルだ。


彼女が廊下を通ろうとすれば誰もが道を開けるのだ。まるでモーゼの十戒のように全ての人が道を開けてしまう。そして教師ですらも開けてしまうのだから、御子柴久遠のこの学校での地位が高いことを示している。



「御子柴さんってカッコいいよね!」


「ねぇ!あの顔で告白とかされちゃったら絶対に落ちちゃうわ!」


「それに文武両道で皆に対して優しいし、完璧だ」


「確かにそこまでの完璧人間はそこまでいないよね」





そして反対側から歩いてきたのは土生江茉だ。彼も学園のアイドルだ。彼も学園内で知らぬ者はいず、御子柴と同じで歩き出せば誰もが道を開けるのだ。


「あ、土生くんだ!!横顔だけでもイケメンなのが分かるわ!」


「それな。まじでカッコいいし。それに聞いた!?」


「なにが?」


「あの顔で紳士みたいに優しいらしいよ!」


「え、完璧超人じゃん!」


「そうだよね」






ここまで顔が整っていて、モデル活動をしている彼らが同じ学校に通っているのはもちろん偶然ではない。


それを説明する上で大事なのは『御子柴家』と『土生家』が重要なのだ。『御子柴家』というのはこの辺の土地を全て牛耳っていた家系。そしてはるか昔からその『御子柴家』に献身的に尽くしてきた一族の名前は『土生家』。



そしてその関係は今でも続いていて、『御子柴家』と『土生家』の関係はとても深い。御子柴家の現当主が御子柴久遠、土生家の現当主が土生江茉。両家の結びつきを確実なものとするために生まれた瞬間から御子柴久遠と土生江茉は許嫁なのだ。土生家が御子柴家に婿入りとして入ることで両家の結びつきうを強くする。



御子柴久遠と土生江茉は生まれた瞬間から許嫁として育ってきたのだ。お互いのことを一番良く理解して、生活してきた。そして一緒に暮らしているうちに両方とも、モデルになった。このことについては両家、正式に結婚するまでであれば特に何も言うことはないと決めている。


色々と事情があるが、二人は自分たちが許嫁であることに関しては友人などにも打ち明けずに生活している。もちろん、学園の中で二人が許嫁という関係であることを知っているのは本人たちのみ。








そしてお昼休みになると二人きりで屋上で話すのが日課。


「ねぇ、江茉」



「どうしたの。久遠さん」



「その『さん』付けそろそろ止めて欲しいんだけど」



「これは癖のようなものだと久遠さんも分かってると思うのですが」



「それはそうだけどさ、二人の時ぐらい距離詰めて名前で呼び合いたいじゃん」



「そういうもんですか?」



「そういうもんです」



「そうですか。でも癖を直すのに時間は掛かるのでもうしばらく待っていて」



「わかったよ」


御子柴は土生の答えに納得はしていないが、これ以上詰めても変わらないことを知っているのでこれ以上は詰めない。



「女の姿じゃない江茉を見るのは新鮮だよね」



「それを言うんだったら、久遠さんも男装していないのを久し振りに見た気分です」



「まぁ…いつもお互い家では女装と男装だしね」



「あれに関してはどうにかして欲しいです。両親の変な趣味の所為で生まれてからずっと女性みたいな扱いを受けてきましたし。男なのに今でもずっと女装だし」



「それに関してはボクも同じだね。お父さんとお母さんがずっと男みたいに育てちゃったお陰で趣味も男性っぽいものが多いし」


お互いにため息を吐きながら今までのことを思い出しているのだ。二人に共通しているのは両親の所為というか、お陰というか、ずっと本当の性では真反対に育てられたということ。御子柴久遠は生物学上、女性であるが両親は男性として育ててきて、家では男装をするように教育した。



そして反対に土生江茉は生物学上、男性であるが両親は女性として育ててきた。だからこそ学校以外ではほとんど女装して過ごすことが当たり前になっているのだ。



「でも、自分はそんな久遠さんも全てひっくるめて良いと思いますよ」



「そんなだったらボクだって江茉のどんなところも良いと思ってるよ」


お互いに褒め合い、それからも他愛ないような話をしているとチャイムが学校中に聞こえるぐらいの音で響き渡る。



「そろそろ戻らないとだね」



「うん。じゃあ…おねがいできる?」



「…そうだね」






土生はこの屋上に自分たちしかいないことを改めて確認してから学ラン、Yシャツと脱いでいく。




全て脱ぎ終えると御子柴に対して「いいよ」と言う。




すると御子柴は土生の背中をさすってから舐め始めた。





それに対して土生は何も言うことなく、静かに受け入れている。


約一分間の間その状態が続き、御子柴が土生から離れた。



「毎回ごめんね」



「いいですよ。久遠さんのこれは今に始まったことではないですし」


土生はそう言いながらYシャツと学ランを着始めた。



「それにこれはお互い様ですよ。自分も久遠さんに色々と迷惑を掛けてしまってますし」



「で、でも…あれぐらいじゃ全然つり合いは取れていないよ。ボクの方がキミに負担を掛けてしまってるし」



「そうでもないですって。自分も毎回、久遠さんの髪の毛を貰っているんですから」



御子柴久遠には土生江茉の体を舐めるという変態行動をする。そして逆に土生江茉は御子柴久遠の髪の毛を毎日支給してもらい、肌に離さず持っているのだ。


普段の彼、彼女を知っている者からすれば衝撃的過ぎる話だ。






簡単に言えば、この二人は変態なのだ。





上記でも話したが『御子柴家』と『土生家』はそれなりに歴史が長い家系だ。それに御子柴久遠も土生江茉もモデルとして最前線で活動しているのだ。そんな二人がこんな変態だと知れれば…かなりのスキャンダルであり、イメージダウンにつながる。



どんなことをしてもそれがバレるのだけは絶対に阻止しなければならないのだ。





これは二人の変態と秘密の物語。

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