よろしい。ならば滅びとけ♪

第27話 会談? そんなもん破談だボケェ!

 そして会談の日。国王の一行とともに俺は問題の地域にいた。そこはサザーラ地方と言ってお互いが自国の領土だと主張していた土地だ。今その土地は西サザーラ地方と東サザーラ地方に分かれていてシェルカラング国が東をクレレンマーが西を治めている。


 最初はそれで済んでたらしいが、東の方にミスリルの鉱脈が見つかったもんだからクレレンマーが黙ってられなくなったそうな。ふざけてんなマジで。


 そんで、会談の場所だが青空会談というやつで東と西の境界上で行われる。その場所がここだ。椅子もねーのが面倒だよな。あるのは向こうが用意したテーブルのみ。


 そしてそのテーブルを挟み俺達はまさに今この瞬間対峙している。


「それでは会談を始めようかシェルカラングの国王よ。先ず我々の要求は以前話した通り東サザーラ地方の割譲と賠償として毎年生産された小麦の半分と集めた税金の8割を収めてもらうことだ」


 クレレンマー側の真ん中にいる奴が開催を宣言するといきなり無茶な要求してきやがった。どうやらあれが国王か。こっちの国王よりジジイだな。


「前にも言ったがそんな条件は呑めん」


 そりゃそうだ。属国どころか植民地レベルだろそれ。当然国王は毅然とした態度で断る。


「何よケチね。東サザーラ地方は私が治める領地となるのよ。つまり私のものになるわけ。さぁ、この条約が記された証書にサインをしなさいよ」


 なんだこのケバいババァは。そこそこ美人なんだろうが厚化粧が台無しにしてるじゃねーか。多分こいつがキチママの転生者なんだろうな。


「一ついいか? それを断ったらお前らどうするつもりだ」

「なんだ貴様は? 知れたこと。戦争に決まってるだろ」


 ほほう、わかりやすくていいな。向こうは勝てるつもりでいるのか?


「国王陛下。こんな会談時間の無駄だ。さっさとテーブルを蹴ってしまえ。なんならここでお前ら全員死ぬか?」


 俺は国王に進言しつつ奴等を挑発する。できれば先に仕掛けてもらいたいが別にかまわん。戦争なんざ勝てば官軍負ければ賊軍だからな。


「ふん、馬鹿め。こちらには商売の神の使徒様がいるのだぞ? この場でおっ始めるなら死ぬのは貴様らだ」

「使徒ってのはそこのケバいババァのことだよな。ちょうどいい、お前をぶっ殺せとイヴェルに頼まれてんだよ」


 ペドラとどっちが強いんだろな。ま、俺の正体くらい明かしてもいいだろう。面倒だからこっちから仕掛けるか。国王には好きしていいと言われてるしな。

   

「貴様、イヴェルの使徒か! ペドラ以外にも使徒がいたのか。ジョアンナ!」


 向こうの国王が使徒の名を呼ぶ。何か仕掛けるつもりだろうが、先手必勝!


「させるかバーカ!」


 俺はテーブルを思いっきり蹴り飛ばし向こうに並んでいた3人にぶつける。


「ぐわぁっ!?」


 そしてテーブルに巻き込まれ3人が一緒に吹っ飛ぶと、その後ろに待機していた兵士共が動く。まとめて死ねや。


「マジックアロー!」


 初級魔法だがこいつで十分だろ。俺は奴等に向かって無数の魔法の矢を打ち込む。


「ハイプロテクション!」


 しかしババァが倒れながらも防壁魔法で対抗しやがった。マジックアローと防壁魔法がぶつかり光が炸裂する。思ったよりやるのか。


 光の止む。そこにはあのババァが立っており兵士どもは撤退を始めていた。どうやらあのババァが殿しんがりを務めるらしい。ならこいつだけでもぶっ殺すとするか。


「いきなり酷いわね! 慰謝料寄越しなさいよ。あんたのスキルをもらってあげるわ! クーレクレクレクレ!」


 なんだもらってあげるって。マジでそんなセリフ吐く奴いるのかよ。ババァは奇声をあげながらなにやら貫手を放ちながら前進してくる。あんな位置から連打とかわけわからんぞ。


 しかしなんだあの貫手は?

 何か嫌な予感がするな。あの貫手を喰らっちゃいけない気がするわ。さっさと魔法でぶっ殺すか。


貫通光線ペネトレーションビーム


 俺はババァの眉間を狙う。しかしババァは間一髪避けやがった。距離を詰められちまうな。


 ゾクリ。


 奴の貫手に悪寒を感じつつもカウンターで顔面を殴る。一発だけ俺に貫手が当たったようだがダメージはない。というより触れた感覚がなかったぞ?


 ババァは顔面を殴られ吹っ飛ぶ。そして俺は追撃の貫通光線ペネトレーションビームを放とうとした。しかし魔法が発動しない。なんでじゃ!?


「よくも……、よくもよくもよくもよくもよくもーーーっ! よくもこの私の美しいカオに傷をつけたわね!? 絶対許さないわよおおおおっ!」


 ちっ、このババァ俺のパンチを喰らって立てるのかよ。ナメてたわ。まぁ鼻が潰れて鼻血すげぇけどな。ありゃ鼻骨逝ってるな。頭に血ぃ昇ってるせいで顔真っ赤でやんの。


 しかし次は、だと?

 まさか俺のスキルを何か盗られたとでもいうのか?


「おい、貴様何をした。魔法が発動しなかったぞ」

「カス当たりだったから大したスキルは手に入らなかったようね。貫通光線ペネトレーションビームっていう魔法しかもらえなかったわ。やはり経験値をもらって弱体化させてからもらってあげた方が良さそうね」


 こいつ、ベラベラと自分の能力喋ってやがんの。馬鹿じゃね?


「ほほぅ、どうやらお前のスキルは人の何かを奪うやつか。お前危険だな。やはりここで死んでもらおうか」


 俺はアイテムボックスからゲームで愛用していた武器を取り出す。この剣の名は殺人ソード(命名俺)。俺が神器創造で創り出したPVPに特化した殺人武器だ。人キラー500%アップ、猛毒、麻痺、スキル1ターン封印付与という殺意増し増しの武器だが、現実だとどうなるかな?


 俺は殺人ソードを構え、ババァを睨みつける。こいつをここでぶっ殺してその首をクレレンマーの国王にプレゼントしてやるぜ!


 俺は昂る殺戮の期待に胸を膨らませ、思わず顔に笑みが溢れた。

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