黒龍
第14話 愛の使徒ペドラ
次の日俺は早速教会に赴いていた。目的はペドラとの決闘だ。ヤツをぶっ殺してロリペド族を解放し、俺はルルナちゃんのハートをゲットする。
「ここが教会か」
教会っていうからキリスト教の教会みたいなのを想像していたが違った。なんというか、神殿だな。白い柱が門のように建っており、その奥に入り口がある。そして中へ入れば真ん中は礼拝堂らしく奥に御神体が飾られている。
御神体は7つ。1つは邪神イヴェルのようだな。本物そっくりだ。使徒が原型を作ったのかもしれんな。つか邪神まで祀ってるってすげぇな。
「
中へ入ると一人の神官が話しかけてきた。ちょうどいい、色々教えてもらうとするか。
「いや。ところで七鍵というのはここの宗教の名前か?」
「おや、ご存知ないのですか。ですがその認識で合っております。七鍵教と言いまして太陽神マクムートを主神とし、正義の神リーブラ、愛の神ラフティ、商売の神アルキンド、戦いの神イシュリム、生命の神アングー、邪神イヴェルを崇める宗教でございます」
「邪神まで崇めてるのか」
邪神って悪い神様だろ。加護をもらっといてなんだが、なんで崇められてんのかわかんねぇぞ。
「何か不思議でしょうか? 邪神は魔物達の神でもあります。魔物は確かに脅威ですが同時に資源でもあるのです。そして人が驕り高ぶるのを戒める役割りを持つと言われております」
その神官は少し不機嫌そうに答えた。崇める神様を貶されたと思ったのかもしれんな。
だがそうか、俺の世界の感覚だと邪神は悪いものというイメージだ。しかし昔からそれを崇めてきた人達にしてみりゃ邪神だろうと崇める対象だわな。
「いや、別に不思議じゃないな。すまんすまん、気を悪くせんでくれ。邪神イヴェル様は俺が1番崇めなきゃならん神様でもあるんだが、俺の地元じゃ余り人気がなくてな」
「そうですか。まぁ、地方により崇める神様を選んでいる地域もありますから。ところで、1番崇めなければならない理由とはなんでしょう。差し支えなければ是非お話を聞きたいところです」
「ああ、それは簡単だ。俺が邪神イヴェル様の使徒だからだよ。ここにいるんだろ、愛の神ラフティの使徒ペドラが」
俺はニヤリと笑い、ペドラの所在を確認した。
「邪神イヴェル様の使徒ですと!? それでは背中を見せていただけますか?」
「いいぜ、確認してくれ」
確かに俺の背中にはよくわからん印が付いている。ルルナちゃんに教えてもらうまで全く気が付かなかったが、恐らくこれが使徒の証なのだろう。俺は鎧を外し、神官に背中を向けた。
「失礼します。こ、これは……!」
神官が俺のシャツをめくり上げ、背中を確認する。そして驚きの声をあげた。
「た、確かにこれはイヴェル様の紋章で間違いありません。間違いない、あなたはイヴェル様の使徒です。これはとんだ失礼を。是非神官長に会っていただきたい」
「いいぜ。言っておくが俺の目的はペドラとの決闘だ」
「わかりました。とにかく先ずは神官長に会って下さい」
「わかった」
俺はその神官に導かれるまま神官長とやらの待つ執務室へ通された。神官がノックして入室の許可が降り中へ入る。そこで待っていたのは髭の生やしたジジイの神官と年若いチャラ付いた男だった。なんだこの組み合わせは。
「これはペドラ様もご一緒でしたか。それはちょうど良かった。こちらはえー」
と、そこで神官が言葉に詰まる。
ああ、紹介しようとしたら名前知らなかったってオチか。そういや言ってなかったもんな。
「俺はジェノス。邪神イヴェルの使徒ってやつだ。で、ペドラってのはどっちなんだ?」
「ほう、お前がイヴェルの使徒か。70年程前にぶっ殺してやったのにもう次の使徒が出てくるんだな」
ん?
おいおい、最後に使徒が生き残った神様の優勝とか言ってなかったか?
最後の一人が決まる前に次の使徒が出てくるってどういうことだよ。
まぁ今はそんなことどうでもいい。とにかくヤツをぶっ殺してロリペド族を解放しないとな。しかしこいつ、100年以上生きているとか聞いていたが見た目随分若いな。しかもイケメンでなんかムカつくぞ。
「悪いけど俺は本物だ。そんなことより俺はお前に決闘を申し込みに来た」
「まぁそんなとこだろうな。なら前はスキルを賭けろ。言っておくが全部だ。死んだらスキルは関係ないし別にいいよな?」
なんだ、スキルを賭けられるのか。金貨でもいいのか心配だったが杞憂だったな。
「ああいいぜ。俺は負けんけどな。俺が勝ったらロリペド族の隷属を解け。言っておくが全員だ」
「なんだ? ロリペド族に惚れた女でもできたかこのロリコンが。だがそれは賭けの対象にはならねぇな」
「なんだと!?」
テメーにロリコン呼ばわりされる覚えはないぞ。っていうかお互い大事なものを賭けると聞いていたんだが。
「だが安心しろ。俺が死ねば隷属の術式は全て解除されるからな。ま、無理だろうがなククククッ」
「なんだ、それなら問題ないな。都合のい術式で助かったぜ。他に欲しいもんはねーからそれでいい」
「俺の力を媒介にしてるからだよ。力の根源である俺が死ねば術式を維持できなくなるだけの話だ。もうロリペド族も12人くらいしかいないからな。それだけなら金さえ出せば解いてやったのに馬鹿なやつだ」
「ん? お前幼女にしか興味ないんじゃなかったのか? だからロリペド族なんてものを生み出したんだろ?」
俺の指摘にペドラは怯むことなくニヤリと笑い返す。なんだこの自信は?
「ふっ、俺は知ったのさ。大人の女の魅力というやつをな。それを知らず幼女に走ったお前はロリペドフィリアの変態から抜け出せない可哀想なヤツだ。今、俺の時代はお姉様! お姉様系の妖艶な女性にバブバブ甘える赤ちゃんプレイを知ればもう幼女じゃ満足できなくなること必至! これこそ大人の恋愛よ」
ペドラのやつが大袈裟な身振り手振りで大人の恋愛を語る。自分を抱きしめる仕草とかキモいんだが。
「いや、お前も十分変態だよ……。それと赤ちゃんプレイと恋愛は関係ねーし」
うん、やっぱりこいつは殺した方がいい気がしてきたぞ。金を出せば解いてやると言われても関係ない。許せんから殺す。それだけだ。
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