教室
小学校の教室は放課後の静寂に包まれていた。彼女たち二人以外には誰もおらず、教室の後ろ隅には小さな机があり、その机を囲んで沙紀とさゆりは一緒に勉強していた。外はまだ夜にはほど遠いが、夕方の柔らかな光が窓から差し込んでいて、青空の中を流れるたくさんの白い雲が影を落としている。教室の中はしんと静まり返り、かすかに外から校庭で遊ぶ子供たちの楽しそうな声が聞こえる。
さゆりは沙紀のノートを見つめながら、真剣な表情で一生懸命メモを取っている。学校の授業では教わらないような難しい内容が書かれていたが、さゆりは眉を寄せて考え込み、理解しようと必死だ。時折、沙紀が解説する声が聞こえ、さゆりは小さくうなずきながら鉛筆を走らせる。彼女の頭の中には次々と数学の公式が浮かび、それがまた消えていくようだ。机の上にはノートや参考書が広げられていて、2人は放課後の限られた時間を使い、課題を解くことに夢中になっていた。
沙紀は、少し焦った表情でノートの解説を続けている。彼女の目はさゆりの理解の度合いを探るようにちらりと動くが、それでも自分の説明が不十分だと感じているのか、時折深いため息をついた。外の風が教室のカーテンをわずかに揺らし、そのたびに夕方の光が微かに揺れる。さゆりの小さな手は止まることなくノートに走り書きを続けているが、その指先には少しの緊張感が漂っている。
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