第11話 リゾート5日目 修正版

※この小説は「フロリダへ行こう」の修正版です。実は、パソコンの操作ミスで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。文言や表現を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。


トラベル小説


 月曜日、早朝のドライヴは禁止となったので、朝の散歩にでかけた。久しぶりに妻といっしょのベッドだったので寝不足だ。妻は朝に目を覚ますと、子どもたちが寝ているベッドにもぐりこんでいった。子どもたちが目を覚ました時に、いっしょに寝ていないと後でうるさいからだ。

 リゾートクラブの敷地は広い。パターゴルフ場があったので、借りていたパターで遊んでみた。でも、一人でやってもつまらない。

 7時半、朝食タイム。今朝のホットメニューはおかゆとカニクリームコロッケだ。ゲストの皆は昨日飲み過ぎたのかもしれない。おかゆは日本風というよりK国風の味付けだった。

 9時にキッズクラブに行き、子どもたちを預ける。私は眠いので、部屋にもどって一休みした。目が覚めたら子どもたちが午前中のプログラムを終えて部屋にもどってきたところだった。

 それから昼食タイム。朝食のおかゆとカニクリームコロッケも残っている。今日は日本のおそばもある。食欲がなかったので、これで充分だった。食べていると、日本人らしきシェフを見かけた。そこで声をかけてみる。

「日本人の方ですか?」

「あっ、はい、そうです」

「いつもおいしい料理ありがとうございます」

「いえ、どういたしまして、皆さんが来ていただけるので私の仕事があるんです。感謝するのは私の方です」

「こちらは長いんですか?」

「いえ、まだ1年たっていません」

「日本では寿司職人だったんですか?」

「いえ、私の専門はフレンチです。日本料理は見よう見まねです。レシピどおりです。あっ、これ内緒ですよ」

 と言いながら厨房に入っていった。アメリカでは寿司職人が足りないという話を聞いたことがある。週に1度しか寿司をださないリゾートクラブでは、専門の職人でなくてもいいのかもしれない。


 午後のプログラムは水上スキーである。どんなことをするか興味があったので、私も子どもたちについて、ボート乗り場へ行った。すると、救命具をつけた子どもたちが列を作っている。背の大きい順に並んでいる。祐実は最後尾だ。

 大きい子どもたちは、自分で水上スキーに乗る。サーフボードみたいに太い1本スキーなので、比較的乗りやすいみたいだ。足はベルトで固定されている。最初はゆっくり走り、立つまではインストラクターが後ろでささえてくれている。立てると、インストラクターは運河に飛び込む。そこでこける子どももいたが、中にはスピードを上げてもがんばっている子どもがいた。

 圭祐の順番になった。やや緊張した顔をしているが、インストラクターの話を聞いて、うなずいている。

「圭祐、英語わかるのか? 幼稚園ではフランス語だったろ」

 と妻に言うと

「感覚で聞いているのよ。幼稚園でも最初はそんな感じだったわよ」

「へぇー、子どもってすごいな」

 と感心しているうちに、圭祐の水上スキーが始まった。インストラクターの手伝いで立つことはできた。一人でロープにしがみついている。徐々にスピードがあがる。

「圭祐、がんばれ!」

 と妻も私も声をだしてしまった。するとターンのところでザブーン! ものの見事に水に落ちてしまった。救命具をつけているので、沈むことはないが、ワニがいるかもしれないので長居は無用。救援用のボートに助けられていた。もどってきて、圭祐が口を開く。

「気持ちよかったよ。ここのキッズクラブ、今までの中で一番おもしろいね」

 と言う。妻は感激と安心の涙目で見ている。運河に落ちたので、妻といっしょにシャワールームに直行である。二人がもどってきたころ、祐実の順番がやってきた。祐実は自分ではできないので、インストラクターに抱っこされている。まるで抱っこひもにくくられている感じだ。一応ロープを握らされているが、形だけである。インストラクターがやるので、本格的な水上スキーのスピードがでている。祐実は「キャー!」と悲鳴というか歓声をあげている。猛スピードでターンしてボート乗り場を通り過ぎていく。その時、祐実は私たちにピースサインをしていた。圭祐が

「祐実いいな。一番長く乗ってるじゃん」

 と羨ましがっている。祐実がボート乗り場にもどってきた。そのまま、降りるのかと思ったら、インストラクターが水上でベルトを外したので、そのまま水の中にドボン。これで全員が水の中に落ちた。圭祐はゲラゲラ笑っていた。

 この日のキッズクラブは早めに終わった。それで家族4人でパターゴルフをすることにした。貸し切り状態である。子どもたちは最初おもいっきりたたいて、隣のホールに打ち込んでいた。それでも徐々に慣れてきて、コース戦略をたてるようになってきた。90度のカーブのあるホールでは

「この壁にぶつければいいんだね」

 と言っている。そして、そのとおりにいくのである。子どもたちの力は偉大である。

 7ホール目に穴に入れると、ウォータースライダーみたいに転がって、次のホールに行くところがあった。子どもたちはおもしろがっている。

 最終ホール。直線のロングホールである。ここは勝負となった。

 まずは私がまっすぐ打つ。弱めに打ったので、ホールの手前1mで止まった。次は妻のひとみである。

「パパったらいやらしいところで止めるわね」

「ぶつけてもいいんだよ。カーリングじゃないんだから・・」

 と言うと、本気でぶつけてきた。私のボールははじかれ、代わりに妻のボールがホールの手前50cmで止まった。妻はしてやったりと喜んでいる。私のボールを元にもどし、次は圭祐の番である。圭祐は強めに打ち、奥の壁にぶつけた。それが功を奏し、ホールの右10cmに止まった。本当のゴルフではありえないことだ。圭祐は意気揚々である。最後は祐実。祐実のボールは右に曲がって横の壁にぶつかり、次に私のボールにぶつかり、勢いが弱まり、最後に圭祐のボールにぶつかってから、ころころとホールに吸い込まれてしまった。まるでビリヤードである。ホールインワン達成。祐実は飛びあがって喜んでいる。圭祐は悔しがったが、すぐに拍手をし始めた。圭祐の成長を見ることができた瞬間だった。

 夕食、日本料理は茶碗蒸しだった。フレンチのシェフが作る茶碗蒸しは、ちょっと違う感じがしたが、悪い味ではなかった。ここではこれで充分なのだろう。K国料理はチヂミ、C国料理はなんとフカヒレスープだった。でも、どこにフカヒレがあるの? と思わせるものでちょっとがっかりだった。ヨーロッパはBBQ。ソーセージがおいしかった。

 夜のカクテルタイムは今日は省略。なんか疲れが残る1日で、早めに寝てしまった。これにてリゾート5日目終了。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る