第9話 リゾート3日目 修正版

※この小説は「フロリダへ行こう」の修正版です。実は、パソコンの操作ミスで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。文言や表現を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。


トラベル小説


 この日も朝のドライヴに出かけた。気分は海外ドラマのポリスマンである。フロリダを舞台にした刑事ドラマをよく見ていた。そののりである。でも、55マイル(およそ90km)の制限速度は守る。外国でつかまるとろくなことがないということはヨーロッパで経験済みだ。スピード違反ではないが、駐車違反でつかまったことがある。郵便局で反則金を納めたのだが、シールの貼り方が違うということで、警察署に呼び出されたことがある。

 今日は、マイアミの近くまで行ってもどってきた。7時半の朝食タイムには間に合った。朝食メニューはハムエッグとドリアである。毎日メニューが変わるので、楽しみだ。

 9時には子どもプールに子どもたちを連れていく。今日こそ、妻といっしょに過ごせるかと思いきや、妻もプールではしゃいでいる。そこを何とか拝みたおして、いっしょにゴルフに行くことを納得してもらった。そうでないと、何のために子どもたちをキッズクラブに入れているのかわからなくなってしまう。

 10時前にゴルフコースにやってきた。9ホールのショートコースである。フルコースもあるのだが、そこは追加料金がかかる。ここは施設内なので無料だ。妻は大学以来のゴルフだということだ。授業でやったそうだ。そこで7番アイアンとパターだけを渡して、小刻みですすむことを選択させた。9ホール中、7ホールがショートホールなので2オン可能だ。他にお客さんがいないので、貸し切り状態である。ゴルフ好きな人たちはフルコースに行ったのだろう。

 いざ、スタートしようとすると、ティーグラウンドに妙な看板が2つあった。池の絵の上に×マークと、ワニの絵の上に「ATTENTION!」と書いてある。妻と顔を見合わせ、

「ワニでるのか~」

 と思わず口にだしてしまった。

 おそるおそるゴルフを始める。OBはもちろんのこと、ラフに打ち込んでも、絶対にボールをとりにいかない。スコア無視なので、ひたすらフェアウェイをすすむ。おかげで1ダース用意したボールは残り2個になってしまった。途中、池のあるホールで、茂みにボールを打ち込んだ時、のそのそと動き出す獣がいた。子どものワニが池に入っていった。

「いたわね~」

 と二人で顔を見合わせた。大人のワニだったら全速力で逃げないといけない。ワニは結構速いのだ。

 妻は最終ホール、2オンに成功し、パーをとってご機嫌だ。私はチップインバーディーをねらったが、勢いが良すぎてグリーンの向こうまでいってしまった。ボギーだった。妻は

「勝った、勝ったー!」

 と喜んでいる。(スコア無視なんだけど・・)と言いたかったが、言い返されるのがオチなのでやめた。まぁ、妻がご機嫌なのはいいことだ。

 ゴルフを終えてプールに行くと、子どもたちは午後のダイビングに向けて、足ヒレの練習をしている。なかなか前へはすすまないようだ。

 昼食を終えて、軽い昼寝をして、いよいよダイビングの練習である。まずは子ども用プールでフル装備をつける。ゴーグル・マスク・酸素ボンベだけでなく、足ヒレとウェイトもつけている。子ども用プールで5分もぐることができると、次は50mプールだ。水深は2mある。私も防水カメラを持って潜る。子どもたちはウェイトのおかげで沈むことはできるが、そこで泳ぐのが難しいようだ。足と手を動かしているのだが、さっぱり前へ進まない。浮くのも難しいので、インストラクターのヘルプが必要になっていた。何度かすると、自分で浮くことができるようになっている。最後はダイビングプールである。浅いところで3m、深いところで5mある。私も潜ってみたが、素潜りでは3mがやっとだった。

 ダイビングを終えてもどってきた子どもたちに

「怖くなかったか?」

 と聞くと

「ぜーんぜん」

 という返事がきた。あっけらかんである。ずっと潜っていられるのがうれしいということだ。将来、海に潜ると言い出すのではないかとちょっと心配になった。妻は、

「子どもたち、たくましくなったわねー」

 と、のんきに喜んでいる。


 夕食は、またもやビュッフェレストランだ。日本料理は「焼き牡蠣」だった。ただ、日本の牡蠣とはちょっと違う感じがした。もしかしたらフロリダ産? と思ったが、ここで牡蠣がとれるとは思えない。どこかからの輸入品らしい。K国料理は「スンドゥブ」。アサリが入った豆腐料理だが、子どもたちにはちょっと辛い。C国料理は「焼きそば」だった。これはいける味だったが、今日のハイライトはアメリカのステーキである。骨付きTボーンステーキで食べ応えがあった。子どもたちは妻から切り分けてもらって、

「うまい、うまい」

 と連発している。圭祐はいつものようにマヨネーズをかけて食べている。

 夜は、またもやプールサイドでカクテルタイムだ。座るところはいつも同じだ。私はうかつにも、そこでうたた寝をしてしまった。起きると3人がいない。見捨てられてしまったと思い、部屋にもどったらだれもいない。

「まさか?」 

 誘拐されたかと思い、ホテル中をさがしまわったら、3人はあろうことかバーにいた。今日はアニソン特集ということで、子どもたちは流行っている日本のアニソンを歌って、大うけだったということだ。もう1曲歌うということで、待っているとのこと。そして、だれでも知っているアニソンを二人で歌い、多くの人から手拍子と拍手を受ける。まるでスター扱いだ。

 夜9時になるので、大人たちとさよならをして部屋にもどる。子どもたちは満足した顔で寝ている。子どもの寝顔は天使だ。

「どうして、オレをプールサイドに置いていったんだよ」

 と聞くと

「起こしたわよ。でも起きないんだもの。それで部屋にもどろうとしたら、アニソンが聞こえてきて、子どもたちが興味を示したの。子どもでもいいと言われたから歌っていたというわけ」

「起きたらびっくりしたよ。部屋に行ってもだれもいないし、誘拐されたかと思ったよ」

「あら、心配してくれたの。嬉しいわね。それにしても、子どもたちはたくましくなったと思わない? 今までの圭祐ならダイビングやカラオケをやるなんて言わなかったと思うよ」

「そうだな。やはりいろんな体験させないといけないんだな。外国にいたから危ないといって、させなかったのがいけなかったのかもしれないな」

「そうね。そういう意味ではここに来てよかったね」

 と、二人で見つめ合った。いい雰囲気になったので、顔をちかづけようとしたら、すっと避けられた。

「おやすみ」

 と妻は祐実のとなりに滑り込んでいった。今日もラブラブなしとなった。

 やや不満が残りながらも、これにてリゾート3日目終了。

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