第5話 マジック・キングダム 修正版

※この小説は「フロリダへ行こう」の修正版です。実は、パソコンの操作ミスで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。文言や表現を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。


トラベル小説


 4日目は、マジックキングダムに行く。今日も朝一番のバスに乗車。乗客はわずかだ。アメリカ人には朝一番に乗るという感覚はないようだ。せっかちなのは東洋系の人たちだ。K国語やC国語がよく聞こえる。大きい声なので余計目立つ。日本語は聞こえない。いるのかもしれないが、バスの中で大声で話すことはまずしない。

 マジックキングダムは一番古いエリアにあるので、バスで1時間かかる。子どもたちはバスの中で寝ている。時差ボケは解消してきているが、遊び疲れだと思う。

 9時半にマジックキングダム入場。一番ではなかったが、まだ混んではいなかった。シンデレラ城は日本と同じだが、そこに行くまでのメインストリートはオープンである。さすが雨の少ないフロリダである。そこに路面電車が走っている。まさに古きよきアメリカのイメージだ。

「日本にないアトラクションを中心にのろう」

 ということで、最初に行ったのはグーフィーのジェットコースターである。グーフィーが、飛行機のスタントをする設定のジェットコースターだ。昨日のアニマルキングダムのバックするコースターと比べたら子どもだましだった。でも、子どもたちは大喜び。この程度で充分なのかもしれない。

 最強の絶叫系アトラクションで「トロン」というのがあったが、身長制限があり圭祐もアウト。断念した。

 7人のこびとのマイントレインに乗った。白雪姫の世界でほのぼのとしたアトラクションだった。祐実は大喜びである。私は娘の顔を見ている方がいい。妻はそういう私を見て笑っている。圭祐は(つまんね~)という顔を露骨にだしている。

 リトルマーメイドのアンダーザシーのアトラクションはなかなか工夫されていた。これには圭祐も目を見張っていた。彼は子どもだましでないものに興味をもっているようだ。兄としてのプライドなのかもしれない。

 そこを出ると、祐実が

「ダンボに乗りたい」

 と言い出した。圭祐が

「日本にもあるだろ」

 と言うと、

「私乗ったことないもん。それに2つもあるよ」

 と言い返す。どうしても乗りたいようだ。それでよく見ると、日本とは逆回りのダンボがある。日本は反時計まわりだが、ここには時計まわりのダンボがある。妻が

「祐実の勝ちね」

 ということで、女組は時計まわりのダンボに乗った。圭祐はふてくされている。私はカメラマンである。祐実はレバーを操作して、上にいったり下に降りたりしてご機嫌だ。

 それが終わると妻が圭祐の機嫌をとりたいと思ったのか、

「ねぇ、早めにお昼にしない? 朝食はクッキーとコーヒーだけだったからお腹すいちゃった。できれば落ち着いて食べたいわね」

 ということで、ガラスの宮殿であるレストラン「クリスタル・パレス」に入った。日本にもあるが、混んでいて入ったことはない。ここは時間も早かったので、すぐに席につくことができた。私が座席に残り、3人が食事を運んでくる。ビュッフェスタイルのレストランである。

 子どもたちはパンケーキやパスタというオーソドックスなランチだ。デザートのケーキやプリンとかの方が多かった。

 妻のひとみは、私用にハンバーグをもってきてくれた。それに大盛りのサラダである。デザートにもってきたババロアがミッキーの形をしている。遊び心満載である。コーヒーを飲んだらうまかった。開店早々なので煮詰まったコーヒーではなかった。

 子どもたちは、二人でおしゃべりしながら食べている。圭祐のご機嫌も直ったようだ。

 食事が終わるころ、パレードが始まった。ちょっと遠くからだったが、レストランの席から見ることができた。日本で人混みにもまれながら見るのとは大違いだ。妻が

「さすがフロリダね。ゆったりできていいね」

 と言っている。妻がご機嫌なのは何よりだ。

 パレードが終わると、圭祐が

「モンスターズ・インクに行こう」

 と言い出した。モンスターズ・インク・ラフ・フロアというアトラクションである。

「英語わかるのか?」

 と私が聞くと、

「ううーん、でも感覚で聞くから大丈夫」

 と生意気なことを言っている。

 すると、子どもたちは英語がわからないのにゲラゲラ笑っている。まさに感覚で笑っている。妻も時おり笑っている。私だけが取り残されている感じだった。

 次は、シルク・ドゥ・ソレイユがやっている「ドロウン・トゥーライフ」に入った。テント小屋でサーカス感満載である。始まると歓声というか、どよめきの連続だった。人間ピラミッドで高いところまで上がったり、綱わたりで綱の上ではねたりする妙技には、ひやひやドキドキした。圧巻は空中ブランコである。安全ネットが外されていて演技が始まると手に汗を感じる。空中にとんだ相方を片手でキャッチする演技には思わず叫び声をあげてしまった。人間ってすごいなと思わされる瞬間だった。圭祐も「スゲー!」を連発している。感動という言葉に縁がない息子だと思っていたが、ちょっと見直してしまった。

 夜のショーまでには時間があるので、ジャングルクルーズやホーンテッドマンションといった日本にもあるアトラクションで時間をつぶした。私は内容を知っているので、カメラマンに徹する。子どもたちは象から水をかけられたり、おばけといっしょにゴンドラに乗っているのがわかり驚いていた。映像マジックなのだが・・。

 夕食は、ポップコーンで終わってしまった。夜のショーのために陣取って、皆で味見をしながら食べた。私はキャラメル味がいいと思った。

 シンデレラ城で夜のショーが始まった。妖精のティンカーベルが飛んで、魔法の粉をふりまくと、マジックが始まる。花火やレーザー光線だけでなく、ドローンが飛び交って、いろいろな形を見せる。そしてプロジェクションマッピングでシンデレラ城が変身する。子どもたちは声を上げることもなく、口を半開きにして見ている。まさに圧巻のショーである。最後は派手な花火で終了。

 帰りのバスでも、その興奮はおさまらなかったようだ。二人で

「すごかったね」

 と話し合っている。

 ホテルに入って、子どもたちが寝た後、妻に語りかける。

「来てよかったか?」

「うん、子どもたちの笑顔が最高ね」

 と、いい雰囲気になった。子どもたちが同室でなければラブラブになるところかと思ったが、

「明日は、私のリクエストのユニバーサルね」

 の一言で、現実にもどり圭祐の横に寝ることにした。

 これにて4日目終了。

 

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