第2話 3日目 水原(スォン)城郭巡り 修正版
※この小説は「韓国城めぐり」の修正版です。実は、パソコンの操作ミスで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。文言や表現を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。
トラベル小説
3日目は、バスで水原(スォン)に行くことにした。李氏朝鮮時代の巨大城郭である水原華城(スォンハソン)の城郭を1周する。
李氏朝鮮22代正祖(チョンジョ)が1700年ごろに築いた城である。有名な韓国ドラマ「イ・サン」の主役だ。
バスはソウルの江南(カンナム)のバス停から乗り、南大門である八達門へ着いた。1時間半も乗ったのに料金は300円弱。韓国の交通費は安い。
八達門はなかなかの巨大な門である。ソウルの南大門より少し小さい程度だ。今は修復中らしくて中には入れなかった。町の方へ歩いて、城郭入り口から城歩き開始だ。最初は急な階段の登り。300段以上はあるだろう。まずは100段登って一休み。それを何回繰り返しただろうか。最後は段数を数えられなくなった。1周すると5kmあるとのこと。ガイドブックによると4時間かかると書いてある。
山の上の道になって、尾根歩きとなった。そこに鐘つき堂があった。これで街全体に時を知らせたらしい。次は西将台だ。見晴らしがいいところだ。おそらくここから旗やのろしで知らせたのだろう。そこを過ぎると下りの階段が始まる。登るよりは斜度がゆるやかで、城郭の多くがのぞめる。ところどころに望楼があり、画になる。戦争で破壊されたので、現在の城郭は1997年に復元されたものである。「イ・サン」ブームもあり、観光客向けに整備されたのだろう。
華西門を過ぎて、北大門である長安門に着いた。ここは中にも入れる。中には李氏朝鮮時代の兵士の姿をした人が立っている。黒ぶちメガネをしていたので、学生のアルバイトであろう。
その後、城郭のハイライトである華虹門(ファファンムン)に着いた。天気がいいと水門から虹がでるということだった。7つのアーチの橋脚がきれいだ。木村くんは自分を入れた写真を撮りたいということで、私にカメラを寄こした。女性の被写体ならともかく木村くんでは画にならないと思った。
昼時になったので、近くの水原カルビの店に入った。水原カルビは骨付き味付けカルビで有名だ。もちろん韓国牛だ。座るとすぐにパンチャンといわれる小鉢料理がテーブルいっぱいにならぶ。数種類のキムチをはじめ、ナムルやチヂミそれにケジャンといわれる蟹料理まである。
「すっげー! 韓国料理おそるべしですね」
と木村くんは驚いている。わたしは食べ放題だと知っているので、
「ためしに一皿食べきってごらん」
と言うと、木村くんはもやしのナムルを食べきった。するとお店のスタッフが素早くやってきて、新しいナムルをその皿にもったのである。まるで盛岡のわんこそばみたいだ。木村くんは目を丸くしている。
「本当に食べ放題なんですね」
と感心していた。小鉢料理を食べているうちに、カルビが焼けた。味付けカルビなので口の中で肉の旨味が広がる。
「この前のトンモクサルと比べてどう?」
「そうですね。向こうが焼肉の革命児という感じで、こっちは王様かな。という感じかな。安心して食べられる味ですね」
「うまいこというね。その骨がついているところをしゃぶって食べてごらん。ここが他の焼肉と違うところだから」
と私が言うと、木村くんは骨をしゃぶり始めた。まるで山賊の雰囲気だ。夢中になって食べている。
午後の部開始。ビールを飲んだので少し足元がふらついている。でも城壁はほぼ平らなので、歩くのはつらくない。東将台というところに着いた。ここは練兵場だ。草原が広がっている。ここで兵士の訓練をしたのだろう。弓矢体験をするところもある。遠くには気球があがっている。上から城郭を見渡すのも一興かもしれない。
城壁の途中にのろし台があった。大きなのろし台で、3本立っている。こののろしの本数で敵の位置を知らせたらしい。1本なら国境、2本なら隣町、3本なら町に接近ということらしい。それを見て城壁に散っている兵士が守りを固めるのである。
そしてゴールの八達門に到着。城郭内の中央にある華城行宮に行こうかと思っていたが、疲れもあり世界遺産の昌徳宮(チャンドックン)に行きたかったし、今日は夜行バスで順天と麗水に行く。歩くのはここまでとした。
帰り道、地下鉄安国(アングク)駅から昌徳宮へ行く。すでに入城時間は過ぎていた。でも正門である敦化門(トンファムン)は見事だ。1412年の建立といわれるから、700年前の建物である。日本でいうと、室町時代だ。鳥よけのネットは興ざめだが、歴史を感じさせる建物であることには変わりない。それ以上に夕景色が映える秋の景色が見事だ。黄色のイチョウの木が陽をあびて黄金に輝いている。見事な景色だった。
ホテルに戻り、シャワーと着替えをしてバスターミナルへ向かう。夜10時の順天(スンチョン)行きに乗る。バスは優等バスと言われる3列シートのバスだ。シートが大き目でリクライニングできるので、仮眠はできる。木村くんは走り出すとすぐに眠りに入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます