染井吉野が枯れた

れいとうきりみ

染井吉野が枯れた

 染井吉野が枯れた。

 今日も散歩の時間がやってきた。しっかりと準備をして家を出る。やはり朝というのは清々しい。少し寒い春の空気を堪能しつつ、家を後にする。

 散歩コースの「どて」につく。川の近くにあり、反対側には「さくら」が咲いていた...。今はもう咲いていないが、その花を見るのが意外に楽しみになってたりする。

 しばらくゆっくりして、またさらに歩きだした。   

 どてをこえた先にあるのは「こうえん」。散歩はいつもここがゴールだ。小さい子供たちの集まる場所となっているようだけど、今はまだ朝早いからだろうか、誰もいない。

 子供がいないのなら仕方がない。頭を撫でられないのならいても意味がないから家に帰りますか。

 こうえんを離れて少しすると、初めて見る建物があった。誰もいなさそうだし、玄関もない。とりあえず入ってみることにした。

 中には割れた食器、ほつれたテーブルクロス、そして蔦が張り巡らされていた。めぼしいものもないし、そろそろ出るとしようか…そう思った瞬間、何かが前を横切った。

 床には人影が写っている。もしかしたらご主人様なのかもしれない。

 僕は人影を追って走り出した。

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染井吉野が枯れた れいとうきりみ @Hiyori-Haruka

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