創作徒然四方山話

邑樹政典

中学生のころに好きだったものを突き詰めろ

 こんにちは、邑樹です。


 唐突に創作論を書きはじめました。

 8/31まで毎日投稿しないと公式イベントの達成条件を満たせないけど、現在執筆中の新作は完結してから公開したいと考えてるため、投稿するネタがないからです。

 非常に不純な動機ですが、もしお時間があればおつきあいください。

 そんなに長くはならない予定です。


 さて、表題の文言についてですが、これは何処かの媒体のインタビューで富野由悠季監督が発言されたものだったと記憶しています。

 ちょっと遠い記憶なので、もし間違ってたらすみません。

 ソースを調べようと思ったのですが、見つけられませんでした。


 さておき、最近では『Gのレコンギスタ』の失敗のほうが印象が大きいかもしれない富野監督ですが、実は作家としても活動していて、自信の手掛けた作品のノベライズなども出版されていたりしますね。

 少し前に劇場版が公開された『閃光のハサウェイ』なんかも原作は富野監督による小説だったりします。


 僕はかねてより富野監督を作家としてとても尊敬していて、物語の構成もそうなのですが、特に『富野節』と呼ばれる台詞回しが大好きです。

 個人的に最も好きな作品は『ターンAガンダム』なのですが、実を言うとアニメ版はすべてを見れているわけではありません(何せ100話くらいあるので)。

 こちらは劇場版での視聴のみになりますね。


 時点で好きなのが『ブレンパワード』ですね。

 『ターンAガンダム』は牧歌的な雰囲気や戦争との向き合い方、作品全体の持つ優しさと、それでいて結末に一抹のもの悲しさを残すところが本当に大好きなのですが、ブレンパワードの愛憎入り乱れる歪んだ親子愛を描いた物語も大好きです。


 『ターンAガンダム』は全体的にカラッとしているのに対して、『ブレンパワード』はめちゃくちゃドロドロしています。

 でも、その分だけ刺さる人には本当に刺さります。

 『ターンAガンダム』は初めて見たときから今でもそこまで評価は変わりませんが、『ブレンパワード』については自分が親となる年齢に近づけば近づくほどにその内容が刺さるようになってきました。

 女性で、さらに息子を持つ方ならばさらに刺さるかもしれません。


 『ブレンパワード』は当時世間を大いに賑わした『エヴァンゲリオン』を見た富野監督が「自分ならこう作る」と思って作成に臨んだとされています。

 これについても古い記憶なので間違っていたらすみません。

 ただ、『ブレンパワード』と『エヴァンゲリオン』にはどちらも共通したテーマが存在します。

 母と子、そして女性、あるいは母性というテーマです。


 どちらの作品もとにかく歪んだ女性ばかり出てきます。

 とくに『エヴァンゲリオン』はまともな女性が主人公シンジくんの学友くらいしかいません。ヒカリちゃんだったかな?

 他は全員、何かしら歪んだところがあり、脛に一つか二つ傷を持っています。


 一方、『ブレンパワード』はまだ少しマシで、主人公のユウくんの周りを固めるヒロインポジションのキャラクターは比較的まともな人が多いです。

 ただ、その分、本作のキーとなる母親キャラは総じて極端に歪んでおり、物語の後半ともなれば優しげに見えたユウの祖母ですら実は……という展開になります。

 ちなみに主人公一家の女性は全員もれなく歪んでいるので、お姉さんもしっかり歪んでいます。ただ、ユウくんにもちょっと原因はありますが……。

 『ブレンパワード』は総じて女性の強さと醜さを描いた作品とも言えます。

 なので、ひょっとしたら女性からの評価は悪いかもしれません。あるいはめちゃくちゃ良いかもしれません。どうなんでしょうね?


 僕は物語で女性を描くとき、この『ブレンパワード』で描かれていた女性を参考にしています。

 これは『ブレンパワード』に出てきたような女性を描くということではなく、同作に出てきたような感情の赴くままに生きる女性を描けるように努めるということです。


 もちろん、僕にもその作品ごとに描きたい物語や描きたいヒロイン像というものがありますから、そこに沿うようにキャラクター造形はしていきます。

 ただ、僕は物語の進行よりも、このキャラクターならこの流れでどんな台詞を言うのだろうということを考えて文章に落とし込むことが多いです。

 その結果、物語が僕の想定を外れておかしな方向に動いてしまうことが多々あり、特に直近の作である『僕たちは拗らせている』においては当初のプロットと結末がかなり変わっています。

 なんだったらサブキャラがヒロインに昇格するレベルで変化がありました。

 キャラクターに感情を与えるということはそういうことなんだなと思っています。


 さて、大幅に話がそれたのですが、表題の『中学生のころに(以下略)』ということについてです。

 これは、創作において自分が思春期の頃に好きだったものを突き詰めることが大事だということを仰られていたと記憶しています。


 僕が自作小説というものを書きはじめたのもこのころですし、『ブレンパワード』に出会って色々と感銘を受けたのもこのころだった気がします。

 けっきょくのところ、思春期の頃に受けた衝撃やそのときに感じた感情というのは、何十年経ってもその人の根幹に刻み込まれているのかもしれません。


 もし創作に行き詰まることがあれば、自分がかつて好きだったもの、自分がかつて心を奪われたものに立ち返ってみるのも良いかもしれません。

 別にそれがアニメや漫画だったとしても問題ないと思います。

 僕はロボットものは書ける気がしないので『ブレンパワード』や『ターンAガンダム』のような作品は書けそうにありませんが、同じころに傾倒していた樋口有介さんというミステリ作家の作品を丸パクリしたようなものは書いたりしていました。


 その結果として学ぶものも多いと思います。

 売れる売れない、人気が出る出ないもあるとは思いますが、自分が若いころ、多感だった時期に影響を受けたものこそが自分を構成したものだと思って突き詰めてみると、必ず何か見えてくるものがあると思います。


 というわけで、今回はこの辺で。

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