第27話
「いらっしゃい」
部屋の中央には縦長のテーブルが置かれていた。
ボックス式で、天板のみがガラスになっている。
テーブルの両サイドには黒色のレザーで覆われたソファが設置されており、足を組みながらタバコを吹かしている女性が1人、座っていた。
黒のワイドパンツと、白いシャツ。
見た感じ大人な印象を受けた。
金色の髪に、研ぎ澄まされた青い瞳。
外国人!?
…いや、それにしては
「連れてきましたけど、どうするつもりです?」
「おいおいユカ。“なんで連れてきたか”じゃねーだろ」
ソファに座っている女性が、こっちを睨んでくる。
…なんか怒ってる?
それよりも気になったのは、部屋の奥にある窓際から、異なる視線を感じたことだった。
デスクテーブルが置かれ、テーブルの上にはパソコン用のモニターが設置されてある。
パッと見は、仕事用のデスクそのものだった。
「まあまあ、とにかく座って」
その“場所”に座っていたのは、同じく女性だった。
ソファに座っている女性とは違って、口調が柔らかい。
…ただ、異様なほどの不気味さを持っていた。
柔らかい口調とは裏腹に、底冷えする冷たい冷気が言葉の端々に犇めいていた。
ほんのりと青みがかった髪の色に、切れ長の眉。
日本人離れした端正な顔立ちからは、得体の知れない不気味さが立ち込めていた。
遠目からでもわかった。
“ただの人間じゃない”、と。
「アリス姉。この子を「処分」するなら、私がするけど?」
「マキ。そういう物騒な発言は極力控えなさい。まずは事情を聞かないと」
朱色のコートを身に纏っているその人は、スッと立ち上がった。
——カツンッ
ヒールの音が、乾いた音色を奏でる。
空気が揺れ動く。
艶やかな香りが、フワッと鼻先に掠めた。
俺は圧倒されていた。
近づいてきたその人が、あまりにも美しかったから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます